中国でバーやライブハウスが人気 若者の新たなトレンドに

中国でバーやライブハウスが人気 若者の新たなトレンドに

雲南省文山チワン族ミャオ族自治州の普者黒風景区仙人洞村にある酒場でパフォーマンスを楽しむ観光客。(2023年5月30日撮影、昆明=新華社記者/蘭紅光)

 【新華社北京5月15日】中国の各都市で昼間の街歩きだけでなく、バーやライブハウスなどでナイトライフも満喫したいという若者が増えている。劇場を兼ねた居酒屋で芝居の世界にどっぷりとつかる。コンサートの後でライブハウスに立ち寄り、お酒を飲みながら引き続き音楽を楽しむ。新しい夜の消費のトレンドが、都市にやってくる観光客の定番アクティビティーとしても、生活者のレジャーとしても広がりつつある。

 中国で生活関連サービスを手がける美団のデータによると、今年のバーの注文量は前年同期比90%増となっている。4月27日に同社が発表した「2024年バーガイド」は中国40都市の特色あるバー630軒を紹介。訪れた都市でこのガイドを参考に特色あるバーに行ってみたいとした消費者は約3割に上った。バーをはじめとする都市の夜の消費空間は大きな活力を見せ、若者の個性的なライフスタイルの舞台となっている。

中国でバーやライブハウスが人気 若者の新たなトレンドに

安徽省蕪湖市の蕪湖古城にある鉄盒精釀酒館でナイトライフを楽しむ客。(2023年1月13日撮影、蕪湖=新華社配信)

 若者たちは夜になると友人らと集まり、バーで酒を飲みながら語り合い、ほろ酔い気分でリラックスする。知らない都市に旅行に出かけた若者は、ガイドを頼りにバー探しに繰り出す。バーは都市の風景の一部となり、その都市の特色や個性がにじみ出たアイデアあふれるバーが多くの若者に支持されている。

 江蘇省蘇州市にある「鎏(りゅう)・古風ウイスキーバー」は、「虞美人」や「蘭亭序」など中国の詩歌の要素を取り入れたカクテルが目玉で、江南地域の夜の詩情や画意をカクテルとともに楽しむことができる。北京市の朝外大街にある「SECOND」は、没入型の演劇パフォーマンスを一杯やりながら体験できるスペースだ。広東省広州市の「LOENG CAA」は、「涼茶」や「亀ゼリー」など地元の伝統的な味覚を取り入れ、「涼茶カクテル」「陳皮金酒]「微醺亀苓膏(きれいこう)」などの品々を提供。昔懐かしい味を通じて都市の記憶がよみがえると好評を博している。

中国でバーやライブハウスが人気 若者の新たなトレンドに

 北京市にあるライブハウスで。(資料写真、北京=新華社配信)

 1~5日の労働節(メーデー)連休期間中も若者のナイトライフ熱は続き、ライブハウスなどの業態が若者の消費の新たな選択肢となった。美団のデータによると、同期間のライブハウスの注文量は前年同期比75%増加。湖南省長沙市の「昊LiveHouse」の責任者は「雨の日に長い行列ができるとは思わなかった」と連休中の予想以上の客入りを驚いている様子。質の高い生演奏に耳を傾け、ライブのムードにつかり、個性的な酒や軽食も楽しめると、若者客は増加の一途をたどる。ライブハウスはコンサートに代わる新たな消費の場となり、「Z世代」(1995~2009年生まれ)の若者に人気のナイトライフの過ごし方となっている。

 「ライブハウスで音楽フェス」「24時間営業のビストロ」「道ばたで飲みながら映画鑑賞」。若者の多様なナイトライフ需要は、消費の強力な潜在力を解き放ちつつある。バー業態はますます細分化、個性化し、若者の夜の消費に新たな選択肢を提供し、都市のナイトエコノミーの持続的な繁栄を後押ししている。(記者/楊珏)

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