水原一平事件で〝チーム大谷翔平〟は解体的出直しへ 来季は新通訳雇用か

大谷翔平(左)と元通訳の水原一平被告。この〝距離感〟も見直しされる

〝チーム・オオタニ〟がサポート体制の再編を余儀なくされている。ドジャース・大谷翔平投手(29)の通訳だった水原一平被告(39)が銀行詐欺の罪で訴追され、現在は球団職員のウィル・アイアトン氏(35)が臨時で通訳を務めている。ただ、大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏を筆頭とする事務所「クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシー(CAA)」では、新たな通訳を雇うことも検討されているという。

超大物メジャーリーガーの大谷が被害者となった「イッペイ・スキャンダル」がいまだに世界中に衝撃を与えている。14日(日本時間15日)には水原被告がロサンゼルス連邦地裁に出廷。司法取引の形式上、この日は無罪を主張したが、後日有罪を認める方針だ。

そしてこの日は大谷側に新たな動きも出た。NBCテレビは1600万ドル(24億5000万円)以上を口座から盗まれた大谷が連邦地裁に対し、水原被告の詐欺行為によって自身が受けた影響について説明する見通しだと報じた。連邦地検を通じて書面を提出するとみられている。

とはいえ、ここまでの大事件に発展したそもそもの〝温床〟は大谷と水原被告の間に築かれた通訳以上の関係性にある。もちろん、大谷からの信頼を悪用した水原被告の愚行は論外だが、運転手だけでなく買い物の付き添い、野球以外のビジネスの窓口や管理業務などあらゆる面でカバーしてきた。

また監督やチームメート、メディアばかりか代理人のバレロ氏までも水原被告を「パイプ役」として頼り、大谷へのメッセージを頻繁に伝えていた。そんないびつなシステムこそが、結果的に大スキャンダルを招いたと多くの米メディアに指摘されている。

実際に連邦当局も水原被告の立場を「オオタニの事実上のマネジャー兼アシスタントだった」と結論づけた。こうした事態を受け、代理人事務所「CAA」は大谷が今後も野球に専念できるように経理担当や会計責任者、さらには個人ブランド用のスポーツマーケティング専門家、契約交渉の代理人など包括的なサポート体制を再構築することを約束。その中には来季以降に新たな通訳を雇うプランもあるという。

ドジャースやCAAの内情に詳しいMLB関係者によると「イッペイ・ミズハラの解雇が韓国・ソウルでの開幕戦終了直後という急転人事だったために、CAA側に次の通訳を準備する時間的猶予はなかった」として次のように続けた。

「結果的に今回はドジャースの球団内の対応を優先するしかなかった。今後は代理人が中心となり、もちろんオオタニの意見も聞きながら、来季に向けた新通訳の選定作業を進めていくことになるだろう」

水原被告が3月20日に電撃解雇され、翌21日から大谷の新通訳には球団職員のアイアトン氏が就いた。誰からも愛される人柄で大谷へのサポートもソツなくこなす一方で、アイアトン氏はドジャースの「パフォーマンス・オペレーション・マネジャー」という立場。データ分析などでチームを支える重要な裏方スタッフだ。

大谷が継続を望み、球団側の了承も得られれば、そのまま専属契約となる可能性もゼロではない。ただ、CAA側も水面下では適任者探しに動き出しており、有力候補も絞られつつある模様だ。

新通訳に求められる最大の条件は「イッペイ・スキャンダル」の反省を生かして、徹底した身辺調査を行い、人選を間違わないこと。その上でドジャースやCAA周辺の関係者たちも口をそろえる「オオタニの新通訳に業務以上の権限を持たせないサポート体制の構築」も絶対条件となる。

〝ノーモア・イッペイ〟を共通認識にチーム・オオタニは再出発を図る。

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