元部長、起訴内容認める 茨城・水戸京成百貨店 雇調金詐取で初公判

水戸地裁=水戸市大町1丁目

水戸京成百貨店を巡る国の雇用調整助成金の詐取事件で、詐欺罪に問われた元総務部長の茨城県常陸大宮市、片岡卓也被告(58)の初公判が15日、水戸地裁(村山智英裁判官)で開かれた。片岡被告は「相違はございません」と起訴内容を認めた。

一連の事件で裁判が開かれたのは初めて。初公判では、不正受給申請が始まった2020年4月11日から5月10日分の不正受給の起訴事実について、検察側の冒頭陳述が行われた。

検察側は片岡被告が当時社長の千葉県柏市、斎藤貢被告(66)=同罪で起訴=から、休業手当が支払われる「特別有給休暇」の日数を水増しして受給申請するよう指示され、総務部の従業員とともに虚偽の日数を記載した申請書類を提出したと説明。斎藤被告に改ざんの必要がない方法を総務部の意見として提案したが、交流サイト(SNS)で「結論が出せなければ、給与は遅配します」などと言われ、受け入れられなかったとした。

起訴状によると、片岡被告と斎藤被告は従業員3人と共謀し、百貨店従業員404人について、同年4月11日から5月10日まで、延べ休業日数5744日を8726日と水増しし、月間休業等の延べ日数を1万42日と記載した虚偽の申請書を作成し、雇調金の支給を申請。百貨店名義の口座に現金計1億3265万円を振り込ませたとされる。

弁護人は公訴事実に争いはないとした。

片岡被告は、2年半にわたり雇調金計約10億7千万円を不正受給したとして起訴された。残りの不正受給については今後の公判で審理する。

© 株式会社茨城新聞社