多肉植物を枯らしてしまう人が知っておくべきこと プロが教える「育て方のコツ」

人気の多肉植物(写真はイメージ)【写真:写真AC】

さまざまな色や形、ぷっくりとしたフォルムが人気の多肉植物。インテリア性もあり、初心者も育てやすいことから、観葉植物として人気です。しかし、お気に入りのものを見つけて飾ってみたものの、枯らしてしまった経験がある人もいるかもしれません。枯らさないためにはどんなことに気をつけたら良いでしょうか。フラワー&グリーンコーディネーターののなかりえこさんに伺いました。

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多肉植物には「生育期」があることを知ろう

多肉植物とは、葉や茎などに水分を貯められる多肉質の植物の総称です。数多くの種類があり、個性的なフォルムが特徴的。観葉植物として人気があります。

手入れが比較的簡単なので、初心者も育てやすいのですが、育てるうえで重要なのは「生育期」を知っておくことです。どうしても枯らしてしまう場合、生育期を知らずに適切な水やりができていないことがあります。

多肉植物は生育する季節で分けると「春秋型」「夏型」「冬型」の3タイプがあります。生育する時期には水や肥料を与えますが、それ以外の時期に与えると枯れる原因になることが。生育期を知ることが、上手に育てるためのポイントです。それぞれの型の特徴と主な種類を紹介します。

○春秋型
春と秋に生育し、夏は生育が緩慢で、冬は休眠します。生育適温は10~25度。蒸し暑い夏と冬は水やりを控え、1か月に1度程度を目安に。主な種類はハオルチア、セダム、エケベリア、センペルビウム、コチレドン、パキフィツムなど。

○夏型
夏を中心に春から秋に生育し、冬は休眠します。生育適温は20~30度。高温を好みますが、厳しい暑さで生育が鈍くなるものあります。過湿は苦手なので、風通しの良い場所に置いて根腐れ防止をしましょう。生育が鈍れば水やりを控えます。冬はほとんど水を与えなくても良いものが多いです。主な種類はアガベ、アロエ、サンセベリア、カランコエ、ユーフォルビアなど。

○冬型
冬から春に生育し、春秋は生育が緩慢になり、夏は休眠します。生育適温は5~20度。涼しい気候を好みますが、冬型といってもとくに寒さに強いわけではありません。霜が降りるほどの寒さには弱い種類が多いので、室内の暖かいところに置きましょう。屋外の場合、水やりは気温が低い時間帯を避け、晴れた日の午前中に。主な種類はアエオニウム、リトープス、オトンナ、プレイオスピロス、コノフィツムなど。

見た目のかわいさだけでなく、ぜひ生育期を理解したうえでお手入れしましょう。

多肉植物の水やりのコツとは?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

多肉植物の水やりは「乾いたら、たっぷりと」

水やりの見極めは、生育期と休眠期で異なります。生育期は完全に土が乾いたら、鉢底から水が出るまで水をあげましょう。鉢の中まで乾いているか確認するのは難しいですが、水をあげた直後の鉢の重さを覚えておくと判断基準になります。休眠期は水やりを控えることもポイントですが、葉にシワが寄ってきたら水が足りないというサインです。

水は上から全体にかけても問題ありませんが、葉に水が溜まったままにするのは良くないので、溜まらないように注意を。綿毛や細かい毛が生えている種類のものは、葉や毛に水が直接かからないようにすると、毛のふわふわ感が保たれてきれいに育ちます。小さめのじょうろを使用するなど工夫しましょう。

多肉植物は置き場所にも工夫を

多肉植物は、日光が大好きです。日当たりと風通しの良い場所で管理することをおすすめします。観葉植物として人気ではありますが、実は屋外のほうがきれいに育つので、たまには外に出すのも良いかもしれません。

ただし、夏の強い光で葉焼けを起こすものもあり、通気性が悪いと根腐れを起こす原因になることもあります。生育する型にかかわらず、直射日光を避けた、日当たりと風通しが良い場所に置くと良いでしょう。群生するタイプの多肉植物は夏場などに蒸れて弱りやすいので、屋外の明るい日陰に置くか、サーキュレーターを回すなど工夫してください。

多くの多肉植物は、過酷な環境で進化をしてきた植物です。あまり過保護にしなくても元気に育ちます。生育期を知って、メリハリをつけたお世話を心がけましょう。

のなか りえこ
フラワー&グリーンコーディネーター。インテリア商材を扱う仕事から花の世界へ。現在はフリーで活動中。花と植物に関する提案・制作(装花・装飾・植栽など)を中心に行う。

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