協会肝いりゲームアプリ頓挫の“張本人”は小林浩美会長…計画性ゼロの見切り発車で現場大混乱

(ゲームアプリの公式サイトから)

【女子ツアーの裏で蠢く火種と禍根】#1

今季女子ツアーは11試合を消化し、史上4人目の初優勝から2戦連続優勝を遂げた竹田麗央をはじめ、初優勝プロが4人も出るなどフレッシュな選手の活躍で賑わいを見せる。その一方で、女子プロ協会上層部にとって不都合な事案もクローズアップされている。

そのひとつが開幕に合わせてスタート予定だった協会肝いりの新規プロジェクト「応援ゲームアプリ」だ。ツアー開幕から2カ月以上もたった現在も稼働していない。

「準備不足で延期になったようです。サーバー容量の問題や、選手の写真使用の件でトラブルになっていると聞いています」(大手広告代理店関係者)

ゲームアプリの名称は「女子プロゴルフ ヒロインコレクション」。お気に入り女子プロをアプリで応援するとサイン入りデジタルカードが手に入り、試合が行われているトーナメント会場を訪れて位置情報を送ると限定デジタルカードと交換できるなど、女子ツアーを盛り上げ、来場者数アップにつながるなどアイデア満載のアプリになるはずだった。

運営はグラビティゲームアライズ社。昨年暮れから山下美夢有、吉田優利、菅沼菜々、堀琴音ら人気プロを起用してユーチューブでPR。今年2月14日の同社のプレスリリースでは「バレンタインキャンペーン」、同19日は「ツアー開幕記念キャンペーン」とプレゼント企画を発表したが、その後は新たなリリースがパタリと止まっている。協会のホームページにもゲームアプリの紹介すら載っていない。

「関係者の多くはゲームアプリが始まる前から問題点を指摘してきた。そんな懸念材料がツアー開幕前に一気に噴出して手詰まり状態です」(前出の大手広告代理店関係者)

■「本当にできるの?」と冷ややかな目も多い

主催者への根回しが何も行われなかったのが原因だ。トーナメント会場で位置情報を送るプランも主催者には何も伝えられていない。さらにデジタルカードに使う選手の写真もマネジメント会社に「昨年の写真を使う」と一方的に伝えただけ。

だが、選手の中には今年から新規スポンサーがついたり、所属先が変更になったりと、試合で着用するウエアが昨年と違うケースもある。「それは困る」とマネジメント会社が協会に訴えるのも当然の話だ。

マネジメント会社の抗議もあって、協会はその後「昨年の写真使用」を取り下げている。新規プロジェクト発足にあたり、誰でもわかるような下準備を女子プロ協会はどうして怠ったのか。

「小林浩美会長は会員の女子プロをゲームアプリに利用するのは当然の権利であり、女子プロを盛り上げるためにはみんな反対しないだろう、と見誤った節がある。今回のゲームアプリは金儲けになると前のめりになって、明らかに見切り発車の感が否めず、5月にはスタートすると言っているけれど本当にできるの、と冷ややかな目で見ている関係者は多い」(別の大手広告代理店関係者)

若い選手が次から次へと出現して活況を呈する女子ツアーだが、華やかな表舞台とは対照的に協会内部はゴタゴタしている。各大会主催者との対立も深刻だ。小林会長がすすめるツアー改革が至る所で火種となってくすぶっている現状は、ファンはおろか当事者である女子プロでも知らないところだ。 =つづく

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