COMPASS、慶應義塾大学SFC研究所と連携し大分県日田市で「キュビナ」の効果検証を実施、6月9日には関連イベントを開催

COMPASSは、慶應義塾大学SFC研究所の上席所員(常勤)であり、総合政策学部の教授でもある中室牧子氏と連携した「ICTを活用した学びにおける児童生徒および教員への影響に関する研究」の第3弾を実施したことを5月10日に発表した。第3弾では大分県日田市の小中学校において、学習eポータル+AI型教材「キュビナ」の活用による、学力向上への影響についての効果検証を実施している。

日田市では、ICTを活用した「学び」の基本方針として、

  • 子どもたち一人ひとりの反応を踏まえた双方向型一斉授業
  • 1人ひとりの教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習
  • すべての子どもが情報の編集を経験しつつ、多様な意見にも即時に触れられる協働学習

という3つの重点事項を掲げる。そのうち「一人ひとりの教育的ニーズや学習状況に応じた個別学習」の充実に向けた取り組みとして、2021年より「キュビナ」を市内の全市立小中学校に導入している。

日田市で行われた効果検証は、2022年1月~2023年1月の期間に、小学校では国語・算数・理科・社会、中学校では国語・数学・理科・社会・英語を対象に行われた。実施方法としては、以下のとおり。

  • 対象の児童生徒に対し2022年1月と2023年1月に実施された「日田市学力調査」の結果を事前・事後テストとして使用し、その間の2022年1月~2023年1月に利用された「キュビナ」の学習ログを収集
  • 収集する学習ログは、利用頻度、問題解答数、時間帯、機能、使用した時間、取り組み方、取り組み結果など計22項目
  • 学習ログ22項目と事前・事後テストの学力の変化の相関を、教科ごとに回帰分析で検証。その指標に基づき「キュビナ」の活用状況の差が児童生徒の学力の向上へ与える影響を調査

同検証では、小学校・中学校、教科共通の傾向として、「キュビナ」を利用した児童生徒に学力向上の傾向がみられ、「習熟度」が高まるほど正答率が高くなる傾向となっている。

また、小学校における教科共通の傾向としては、「キュビナ」の取り組み問題数が増えるほど正答率が高くなる傾向となり、「知識技能」の問題項目の正答率の向上だけでなく、「思考判断表現」の問題項目における正答率の向上もみられた。さらに、「キュビナ」の利用頻度や解き直し率が高くなるほど、正答率が高くなる傾向もみられる。

中学校における教科共通の傾向としては、「キュビナ」の取り組み節数が増えるほど正答率が高くなる傾向がみられた。

以上の結果から「キュビナ」独自の「習熟度」指標は学力調査の結果と相関があり、児童生徒の学習状況を把握する重要な指標であることが明らかとなった。児童生徒の学力を向上させるためには「習熟度」のアップを目指し、「キュビナ」に取り組むことが効果的であると考えられる。

なお、6月9日14時~17時には、日田市教育委員会と日田市立大山小学校の担当者が登壇し、効果検証の詳細について報告するイベント「学習者を中心としたデータ利活用のこれから ~教育データの連携・集約・可視化で実現する個別最適な学びの環境づくり~」をオンライン開催する。参加対象は全国の自治体担当者、学校関係者となり、参加費は無料。参加にあたっては事前登録が必要となる。

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