東京メトロ、東西線の工事で話題になった例のアレ公開!気になる行方は?

工事により行き先が「茅場町」となった車両 営団05系 2024年05月11日撮影

東京メトロは、2024年5月11日・12日に実施した東西線南砂町駅線路・ホーム増設へ向けた線路切替工事が行われました。この2日間、東西線の一部区間で終日運休となる大規模な工事でしたが、その際に使用された“あるもの”がSNSで話題に。一見するとかわいいポシェットに大きなコインのようなもの。今回、工事で重要な役割を果たしたこの道具を公開した、東京メトロへお話を伺いました。

東西線南砂町駅の線路切替工事の際に活躍した道具

©東京メトロ

この道具は、「スタフ閉そく式」という鉄道の運行で衝突事故を防ぐための通行システムに使用されています。皮のポシェットのようなものは、“輪っか”のような持ち手がついたケースで、この中に円盤状のタブレットを入れて持ち運びます。

「スタフ閉そく式」とは、1へいそく区間に1つしかないスタフ(タブレットで代用する場合もあり)を持っている列車だけが、同区間に入線できるもの。したがって、所持していないほかの列車は進入することはないという、なんとも見た目にもわかりやすい方式です。

現在は一部のローカル路線を除き、ほとんどの鉄道会社が自動閉そく式を採用しているため、今回葛西〜西葛西間という“都会”で使用されたことが注目を集めました。ちなみに、2022年の台風被害により運休していた大井川本線 家山〜川根温泉笹間渡間が昨年10月に、この「スタフ閉そく」方式を採用し復旧したことも話題になりました。

東京メトロが公開した画像では、「東京地下鉄株式会社」と「T15(南砂町の番号)」「葛西駅〜西葛西駅間 A線 スタフ閉そく式」の刻印が。今回の工事のために製作されたことがわかります。これについて、東京メトロ広報部へお話を伺いました。

タブレットは「T」字にくり抜かれています

©東京メトロ

Q1.東西線の残る2回の工事でこのタブレットを使用する可能性はありますか?

「今回採用したスタフ閉そく式を、次回の運転方法に実施するかどうかは未定。使用の有無については、現時点ではわかりません。なお、2回目の線路切替工事については、今回同様運休を伴う工事となる見込みですが、3回目の線路切替工事については運休をせず実施する見込みです。」

Q2.このタブレットについて、地下鉄博物館等での展示やレプリカの販売など、今後の展開は決まっていますか?

「反響があったことは存じ上げておりますが、今後の展開についは未定です。」

とのことでした。とにもかくにも、とてもレアな光景が垣間見れた今回の工事。この方式の知識を知っている人にとっても、実際に使用されたという事実がとても貴重なことだと感じたのではないでしょうか。

© レイルラボ