『猿の惑星/キングダム』ヒットに竹内力「おひねり出るかな」 松岡禎丞&小松未可子も歓喜

全国公開中の映画『猿の惑星/キングダム』の公開記念舞台挨拶が5月15日にTOHOシネマズ 日比谷で開催され、日本語吹替版声優を務めている竹内力、松岡禎丞、小松未可子と、お笑いコンビ・サルゴリラの児玉智洋と赤羽健壱が登壇した。

『ゼルダの伝説』実写映画の監督にも抜擢されたウェス・ボール監督が、『アバター』シリーズを手がけたVFXスタジオ「WETA」とタッグを組んだ本作は、『猿の惑星』シリーズの完全新作。これまで、作品のテーマとして“共存”と“対立”が様々な形で描かれてきたが、完全新作となる本作では、“猿”と“人間”の共存をかけ、“猿&人間”VS“猿の独裁者”の新たなる衝突が描かれる。

5月10日より公開を迎えた本作は、世界中でオープニングNo.1、日本でも初週3日間で洋画NO.1の大ヒットを記録。そんな本作の公開を記念して、冷酷な独裁者プロキシマス・シーザー役の竹内、主人公の若き猿・ノア役の松岡、重大な秘密を抱える人間の女性・ノヴァ役の小松の日本版声優と、サルゴリラの2人をゲストに迎えた公開記念舞台挨拶が実施された。

無事公開を迎えた心境について竹内は「全体の50%くらいが吹き替えで観られていると聞き、凄いことらしいんですよね。もしかしておひねり出るかなと思うくらい(笑)うれしく思いました。周りの反響としては、リアルな猿にびっくりしている人もいれば、『続編があるんじゃないの!?』とバタバタ言っている人もいますね(笑)」と、周囲の反応も含めて告白。松岡も「公開されてから行く現場ごとで、誰かしらに『猿の惑星』観に行きましたよって言われるんですよ。今朝も『最高でした!』と言ってもらい嬉しかったです」と話し、小松も「公開前に映画館にいったら大きな本作のパネルがあって! 人知れず写真を撮って、高揚感に包まれたのを覚えています。そして家族からも『あの“猿の惑星”か! どの猿!?』と聞かれて(笑)、『猿じゃないんだ』となりました(笑)」と喜びの思いを明かした。

本作で描かれるのは、今から300年後の猿が人類を支配する世界。かつて人間によって生み出された猿ウィルスが猛威をふるい大都会だった世界は荒廃し、人間は知能や言語だけでなく、文化、技術、社会性までも失い、まるで野生動物のような存在となっていた。そんな世界において人間はもちろん、様々な猿の部族までをも支配しようとする独裁者・プロキシマスを演じた竹内は「プロキシマスは高慢的な独裁者で、知性のある戦略家でありながら急にキレて怒鳴り声をあげたり、馬鹿笑いしたりと、喜怒哀楽の激しい猿なんです」と説明しつつ、「普段は俳優なので自然にしゃべりたくなっちゃうんですが、猿っぽく話したほうがいいのかなと、悩みはありました。猿っぽくしすぎるとセリフが聞きとりづらかったりしますし、悩みながら吹き替えしました」とアフレコでの苦労を明かした。

そんなプロキシマスによって大切な家族と故郷を奪われてしまう主人公の若き猿・ノアを演じた松岡は、「ノア役のオーウェン・ティーグが猿の生態を日常からしみ込ませて演じているので、動きや息遣いに気を付けて演じました。そして、ノアはそんなに強くはないんですけど、猿のことを思いやれる人間……いや、猿で(笑)、人と猿の関係をつきつめていくんです。未熟だけど成長していくキャラクターなので、そんな過程を大事に演じました」と、ノアの魅力と吹き替えのこだわりを明かす。そしてノアが仲間を助けるために旅をする中で出会う、ある重大な秘密を抱えた人間の女性・ノヴァを演じた小松は、「人間の存在が変わってきているシリーズの中で、本作では人間は退化しているんです。その中でもノヴァは賢い人間なので、彼女の目線から感じられる知性を大事にして演じました。また、劇場映画の吹き替えってテレビとは違って家でチェックができないので、現地にいかないと映像を確認できない難しさも感じました」とこだわったポイントと、普段とは違った面で苦戦した ことを明かした。

イベントの中盤では、サルゴリラがステージに登場。「名前だけで呼ばれました、ラッキー登壇です!」と早速会場を笑いに包み、すでに作品を鑑賞した赤羽から「めちゃくちゃ面白かったです。このシリーズ自体観たことがなくて本作が“初・猿の惑星”になったのですが、すんなり観れましたし、もちろんシリーズファンの方はさらに楽しめる作品だなと感じました」と熱い想いで感想が語られた。そしてイベントでは2人からある発表が。児玉から「ちょっとだけ声で出演してまして!」と、日本版声優として作品に出演していることが告げられると、会場はシーンとした空気に。すかさず児玉が「全然盛り上がらないですね(笑)」とツッコミつつ、「ノアが卵を持って帰る映画冒頭のシーンで『ウォウウォウ』って言っています(笑)。探してください」と語った。 吹替版を鑑賞した竹内は、2人の声について「素晴らしいお芝居だったと思います。冒頭シーンなのでぼーっと観ててよくわからなかったのですが、卵役でしょ?」と会場の笑いを誘った。

またイベントでは、本作の公式サイト(https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kingdom-apes)で開催されている『猿の惑星/キングダム』特別版「類人猿診断」(精神科医・名越康文監修)にゲストが挑戦。いくつかの質問に答えると、考え方や行動の基準がまったく違う<オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ボノボ>の4つのタイプの診断結果が出てくる。事前に質問に答えたゲストの結果がMCによって発表され、松岡、小松、児玉は<自分の信念を持つオランウータンタイプ>、赤羽は<秩序と調和を重んじるゴリラタイプ>、そして竹内は自身が演じるプロキシマスと同じ<ムードメイカーのボノボタイプ>であることが明らかになると、「やっぱり!」と会場は大盛り上がり。その場を盛り上げる特徴のボノボタイプだった竹内だが、サルゴリラの児玉は「確かに楽屋でもすごく盛り上げてくれます」と竹内の意外な一面を明かした。

映画の冒頭から終盤にかけて、自分自身と向き合い、知らない世界を知っていく主人公のノア。松岡は「本作は、主人公・ノアと一緒にどんどん理解していく作品だと思っています。ノアが一歩ずつ進み困難を乗り越えていくごとに、伏線を回収して、ノアと同時に楽し める作品になっていると思います」と語り、小松も「リブートシリーズの主人公・シーザーの伝承を受け継ぐものと、シーザーを知らないものの間で、どうその伝承を受け取っていくのかというところが、個人的に深いと思いました。ある意味人間の歴史もそうなんじゃないかと浮かぶシーンもあり、グッときました」と、インパクトだけにとどまらない本作のストーリーの深さを明かす。竹内も「人間がいるべき場所に猿がいるのが、現実だったら怖いなとゾワゾワして違和感を感じながらも、今現在世界各国で起きている戦争やコロナ、地球温暖化などへの教訓的なメッセージがちりばめられている作品になっています」と、本作の深いメッセージ性を語った。

最後に竹内は「世界最高峰のVFXで描かれる世界に浸りながら存分に『猿の惑星/キングダム』を楽しんでください! なんて素晴らしい日だ~!」と熱いメッセージで締めくくり、イベントの最後には鏡割りも実施された。
(文=リアルサウンド編集部)

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