はんこで押せるのは…県民誰もが歌えるあの歌詞【長野・松本市】

コロナ禍もあいまって、はんこの需要は減少傾向ですが、職人の技術を伝えたいと松本市のはんこ店が販売を始めたのがこちら。
刻まれているのは、県民、誰もが知っている「あの歌」です。

■田中亮記者
「松本城近くに位置する松本市の大名町です。この辺りは数十年前まで多い時で15軒ほどのはんこの店があったそうで、はんこ店の多い場所でした。そして今回、この老舗のはんこ店が信州に関連するある商品を作りました」

3センチ四方のゴム印。押してみると…。見覚えのある文言が!
県歌「信濃の国」の歌詞が入ったゴム印です。

■木下製印社・木下匡晃さん
「人に見てもらえるもの(商品)が出来ないかなと思って、信濃の国の歌詞を彫ってみた」

職人歴34年の木下匡晃さんによると、城下町・松本は多くの人や企業が集中し、かつてははんこの需要も多く、昭和時代には
はんこ店およそ15店が営業していました。しかし、年々その需要は減少。コロナ禍には行政や企業の「脱はんこ」の動きもあり、多くの店が閉店に追い込まれました。

■木下製印社・木下匡晃さん
「役所への申請書類などは、はんこが不要になってきている。輪をかけて使われなくなってきた」

危機感を抱く中、「職人の技術を知ってほしい」という思いからオブジェとして作ったのが、この角印。縦・横3㎝の中に「信濃の国」、1番の歌詞、72文字が掘られています。SNSに写真を投稿したところ、反響が大きく、販売を決めました。

■木下製印社・木下匡晃さん
「1行目と2行目が8文字、3行目から6行目までが9文字最後の2行が10文字ずつになっている」

こだわりはおよそ3ミリほどの文字。行によって文字数が違うため、微妙に大きさを変えてバランスをとっています。

■木下製印社・木下匡晃さん
「観光客が通りがかりに見て買っていくものがほとんどない。これをきっかけにそういう方が何かどうかお買い求めいただけるような展開ができたらなと思っています」

ちなみに、「信濃の国」は6番まであります。2番以降の歌詞が入ったゴム印の販売も予定しています。

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