今やミルクもパーソナルな時代。あなたに合ったミルクがきっと見つかる!~チャート式ミルク診断~

By 小山 浩子

1日3度の食事。簡単に準備ができて、おいしくて、栄養バランスのすぐれたものを食べたい――「FYTTEヘルスケアトレンド2024」で打ち出したキーワードでもある「タイパ食(タイムパフォーマンス×食事を表すFYTTEの造語)」への注目度は、ますます高まっているように感じます。そんな贅沢な願いを叶えてくれる食品が、意外にも「牛乳」です。牛乳の奥深さに驚き続ける管理栄養士の小山浩子先生に、自分にぴったりな牛乳の探し方を教えていただきました!

「何のために牛乳を飲むの?」から始める“私にぴったりなミルク”選び

牛乳の栄養価の高さについては、前回の記事(コスパよし! タイパよし! 豊富な栄養素がチームワークでココロとカラダを守ってくれる。今こそ知りたい牛乳のパワー)でもお伝えしました。「新型栄養失調*」に陥っている日本人も多いと言われる現代、不足しがちな亜鉛やビタミンDなど、ビタミン・ミネラル群もバランスよく含まれた牛乳は、習慣として毎日飲むのが効果的です。とは言っても、牛乳を飲む習慣がない人や、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするという人もいるかもしれません。

*新型栄養失調…食事によるカロリーは足りているのに、必要な栄養素が不足していること。たんぱく質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンD、カルシウムや鉄、亜鉛などが不足している栄養素として挙げられる。

牛乳にはさまざまな種類があります。生乳を加熱殺菌しただけのものが「牛乳」です。牛乳には、「成分無調整牛乳」のほか、原料は生乳100%であるものの、成分を調整した「成分調整牛乳」「低脂肪乳」や「無脂肪牛乳」もあります。また、生乳に乳製品を加えたものは「加工乳」や「乳飲料」と呼ばれます。自分にいちばんぴったり合うミルクを選ぶには、どのようにすればよいでしょうか。

「牛乳を選ぶときにまず考えたいのが、『牛乳に何を求めるか?』です。味を求めるのか、栄養を求めるのかによって、選ぶ牛乳がかなりしぼられますよ」

【Aタイプ】ミルクに求めるものが味でも栄養でも、自然な牛乳を毎日カジュアルに飲みたいなら「成分無調整牛乳」がおすすめです。牛乳は牛が食べるえさ、飲んだ水、吸う空気によって味が全然違います。大手のメーカーで作られている一般的な「成分無調整牛乳」もそれは同じで、味わいはそれぞれ違うので、ぜひ違いを楽しんで自分の好みに合った牛乳を探してみてくださいね。

【Bタイプ】【Cタイプ】ミルクに栄養を求めていて、必要な栄養素をさらにプラスしたいと考える【Bタイプ】さんには、カルシウムや鉄、ビタミンDやビタミンBなどがプラスされたミルクがおすすめ。ビフィズス菌が含まれていて、腸活にも役立つというものもあります。自分が補給したい栄養素に応じて選ぶとよいでしょう。

カロリーが気になる【Cタイプ】さんにおすすめなのは、低脂肪牛乳や無脂肪牛乳です。栄養がプラスされながらカロリーがオフされた「低脂肪乳」「無脂肪乳」(乳飲料・加工乳)も多くあります。
「このタイプのミルクは、かつてに比べて格段においしくなりました。以前は苦手で敬遠していたという方や、なんとなく体がだるくて不調が続くという方も、ぜひこの機会に手にとってみてください。脂肪が低めのミルクは紅茶などとの相性もいいですよ」

●カロリーを控えつつ、必要な栄養素をプラスできるミルクの例

PREMil(プレミル)(森永乳業)720ml 260円(税抜き)
たんぱく質はコップ1杯(200ml)で約9.7g含有。牛乳(森永牛乳)の2倍のカルシウムが含まれ、かつ低脂肪を実現させた、からだケアミルク。シールド乳酸菌配合。
https://www.morinagamilk.co.jp/products/brand/premil/

●牛乳のおいしさと栄養を残して脂肪分のみオフしたミルクの例

白バラ低脂肪牛乳(大山乳業)1000ml 320円(税込み)
生乳から脂肪分だけを除いた、生乳100%の低脂肪牛乳。普通牛乳に比べて脂肪分が60%カットされており、すっきりとした味わいです。
https://dainyu.or.jp/product_category/category2/

【Dタイプ】「牛乳を飲んでも、お腹がゴロゴロしにくい」として、注目を浴びているのが「A2ミルク」です。牛乳に含まれているたんぱく質であるβカゼインには、A1型とA2型があり、A2型のβ-カゼインが含まれているのが「A2ミルク」です。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする要因に、A1型のβ-カゼインが挙げられているため、A2ミルクは「お腹がゴロゴロしにくい」と言われます。牛乳に含まれるβ-カゼインがA1型かA2型かは、その牛のもつ遺伝子によって分かれるため、栄養面や味わいとしてはA1ミルクとA2ミルクは同じです。

●お腹がゴロゴロしにくいA2ミルクの例

日本A2協会牛乳1000ml 389円(税込 )
すべての乳牛の遺伝子検査を行い、牛乳中のβ-カゼインがA2型のみであることを厳格に検査確認したA2牛乳。200mlサイズもあります。
https://www.japan-a2milk-association.or.jp/store/

【Eタイプ】【Fタイプ】厳選された牛乳の品質にこだわる【Eタイプ】さんには、「特選(厳選)牛乳」がおすすめです。特選牛乳は、成分無調整牛乳の中でも、全国飲用牛乳公正取引協議会が定める優良表示基準を満たした生乳のみでつくられた牛乳のことです。脂肪分も高めなので、まろやかさが味わえます。さらに濃いコクを求める【Fタイプ】さんは、生乳にクリームやバターを加えた特濃(濃厚)ミルクもいいでしょう。カフェオレやお菓子作りの材料にも向いています。

●厳選された生乳を使った牛乳の例

特選よつ葉牛乳(よつ葉乳業)1000ml オープン価格※よつ葉乳業オンラインショップでは362円(税込)

北海道十勝の大自然で育った牛の、特選基準をクリアした生乳を使用。乳質、成分にすぐれた生乳を、生産地である十勝の工場で殺菌・パック詰め。200ml/500mlサイズもあります。
https://www.yotsuba-shop.com/item/detail/1_1_17260_1/1

●生乳100%・成分無調整ながら、豊かなコクが味わえるミルクの例

蒜山高原のすっきり美味しいジャージー牛乳A2(蒜山酪農)1000ml 929円(税込み)
自然豊かな蒜山高原で飼育されたジャージー種の牛の牛乳。一般的なホルスタイン種の牛乳に比べて高脂肪でコクがあり、カルシウムやたんぱく質が豊富*という特徴も。500ml/180mlサイズもあります。
*一般的なホルスタインの牛乳に比べ、カルシウムは1.27倍、たんぱく質は1.22倍含有。
https://shop.hiruraku.com/shopdetail/000000000128/

【Gタイプ】産地や牛の育つ環境にこだわる【Gタイプ】さん。「えさ、水、空気によって牛乳の味わいが変わるとお伝えした通り、北海道と石垣島では、『これが同じ牛乳?!』と思えるほどに味が違いますし、生産量が多い北海道の中でも農場ごとに味わいが違うのが牛乳のおもしろいところ。また、自然放牧され、牧草だけを食べて育った牛からしぼった『グラスフェッドミルク』も、グラスフェッドならではの味を楽しむことができます。日本は水も空気もキレイですし、東西に長く地域によって気候も違います。世界一、牛乳がおいしい国と言われているくらいですので、ぜひ、ワインのように牛乳を楽しんでほしいと思います。道の駅や旅行先、空港、デパ地下などの牛乳売り場に行くと、味わい深いたくさんの牛乳に出会えますよ」

ちなみに小山先生は、種子島、石垣島、八丈島など、島の牛乳の味わいにハマっているそうです。

●産地・環境にこだわった牛乳の例

明治オーガニック牛乳(明治)900ml 419円(税抜き・実勢価格)
北海道にある指定牧場で、有機農業の考え方に基づき飼育された乳牛からしぼった生乳のみを使用。有機JAS規格の認証を受けた牛乳です。
※安定した供給を実現するため、北海道および、関東の一部での限定販売 。
https://www.meiji.com/sustainability/dairy/crc/

3回にわたってお伝えしてきた、牛乳の魅力、いかがでしたか。数あるミルクの中で、飲み続けられる自分にぴったりのミルクがきっとあるはず! ぜひ探してみてくださいね。

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