ジョン・グルーデンがNFLメール訴訟をめぐりネバダ州最高裁判所の判決で敗訴

ジョン・グルーデン【AP Photo/Rick Scuteri】

2021年にラスベガス・レイダースを去った元NFLのコーチのジョン・グルーデンは、リーグを相手取って起こした契約妨害および共謀の訴訟において、現地14日(火)にネバダ州最高裁判所の判決で敗訴した。しかし、グルーデンの弁護士は上訴する意向を示している。

3人の裁判官からなる陪審団の裁定は2対1に分かれており、陪審団はリーグ側がこの民事訴訟を州裁判所からNFLコミッショナーのロジャー・グッデルが監督する可能性のある私的仲裁に強制的に移行させることができると述べた。

グルーデンの弁護士であるアダム・ホスマー・ヘナーは、州最高裁判所の7人のメンバー全員が審理するよう、上訴すると主張。

NFLの代理人であるカノン・シャンムガム弁護士はこの判決についてコメントを控えた。

2021年11月にグルーデンが提訴した内容では、その何年も前にグルーデンが『ESPN』に在籍していた際に、人種差別的、性差別的、同性愛嫌悪的な言葉を使用したメールを送っており、それをリーグがリークしたことで、レイダースのヘッドコーチ(HC)辞任に追い込まれたとされている。

グルーデンのメールは2011年から2018年の間に『ESPN』に在籍していた際、ワシントン・レッドスキンズ(現ワシントン・コマンダース)の元幹部ブルース・アレンに送られたものだ。これらのメールは、ワシントンの職場文化に関する調査中にリーグが入手した約65万通のメールの中から発見された。

グルーデンは『The Wall Street Journal(ウオール・ストリート・ジャーナル)』と『New York Times(ニューヨーク・タイムズ)』によるメールの開示とその公表が自身のキャリアを破壊し、スポンサー契約を頓挫させたと主張。グルーデンは金銭的な損害賠償を要求している。

陪審団の過半数を占めるエリッサ・カディッシュ判事とクリスティーナ・ピッカリング判事は、レイダースとの契約において、グルーデンはNFLの規約が紛争解決のための仲裁を許可していることを理解していると“明示的に承認した”と述べた。

また、両判事はコミッショナーのグッデルが第三者仲裁人を指定して紛争を審理させた他のケースを挙げ、グッデルがグルーデンのケースを仲裁するとは明確には言えないとした。

カディッシュ判事とピッカリング判事は「元スーパーボウルチャンピオンのコーチであり、長年のメディアパーソナリティとして活躍し、エリートエージェントを代理として、NFL史上最も高額なコーチ契約を結んでいたグルーデンは、まさに洗練された当事者の典型であった」と述べている。

一方、反対意見を述べたリンダ・マリー・ベル判事は、グルーデンのレイダースとの7ページの契約に付随していたNFLの規約は447ページにも及ぶ“承諾するか一切をなしにするかの選択肢しかない”ものであり、グルーデンに“不平等な交渉力”をもたらしたと主張。

グルーデンはレイダースが2020年にオークランドからラスベガスに拠点を移動した時のヘッドコーチだった。そんなグルーデンは10年1億ドル(約154億2,415万円)という記録的な契約を6シーズン以上残した状態でレイダースを去っている。レイダースのオーナーであるマーク・デービスは後に、契約最終年数についてグルーデンと和解に達したと述べた。条件は明らかにされていない。

グルーデンは1990年から2008年までNFLでコーチを務め、なかでもレイダースや2003年のスーパーボウル優勝を果たしたタンパベイ・バッカニアーズのヘッドコーチを務めていたことで有名だ。『ESPN』のテレビアナリストとして数年を過ごした後、2018年にレイダースに再び雇われていた。


記事提供:『The Associated Press(AP通信)』


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