どこまで踏みにじれば…捜査情報を第三者に漏えい、謝罪を進めるが一部被害者の面会拒否、ようやく会っても「上からやってくれと言われている」 鹿児島県警

「謝罪に誠実さを感じられない」と話す県警捜査情報漏えい事件の被害者=10日、県内

 捜査情報を第三者に漏らした疑いで鹿児島県警の警察官が4月に逮捕された事件を巡り、県警は個人情報が漏えいした被害者らに通知し、謝罪している。適切な説明と対応が求められる中、謝罪を受けた一部の人から「誠実さを感じない」と批判の声が上がっている。南日本新聞に寄せられた複数の訴えによると、対面の謝罪を拒まれ、電話で済まされた事例もあった。被害者らは「ますます信頼を失う姿勢を残念に思う」と憤る。

 県内の40代女性は4月中旬、県警からの電話連絡で漏えい被害を知った。「法律で通知義務がある」などと言われ「電話で説明したい」と求められたという。女性が「自分にとっては一大事だ。直接説明してほしい」と何度も食い下がり、後日面会する機会を得た。

 面会で女性は「第三者は犯罪組織なのか」などと不安を訴えたが、訪れた警察官は「答えられない」の一点張り。「漏えいの広がりをどこまで追いかけられるか責任は取れない」「正直私たちも上からこういう仕事をやってくれと言われている身ですから」と、人ごとのような言動もあった。

 別の女性も県警から電話で知らされ「訪問での謝罪はしていない」と面会を断られた。親族の男性は「悔しさが募るが『警察に意見することが怖い。もう関わりたくない』と心を閉ざしてしまった」と代弁。「被害者を軽んじたアリバイ作りでしかない。ゆがんだ対応だということに気付くべきだ」と強調した。

 事件は、告訴、告発事件の処理経過を管理する文書「告訴・告発事件処理簿一覧表」を印刷した書面などが漏れたとして、現職警察官が4月8日に逮捕、同29日に再逮捕された。県警は少なくとも「100件を超える資料が外部に漏れた可能性が高い」としている。

 政府の個人情報保護委員会によると、個人情報保護法の解釈指針は漏えいが発覚した際「合理的かつ適切な方法により、本人にとって分かりやすい形で通知することが望ましい」と示している。

 捜査情報漏えい事件を担当する県警プロジェクトチーム(西畑知明警務部長)は5月16日、謝罪態度への批判を把握しているかを問う南日本新聞の取材に「捜査、調査中であり現時点の回答は差し控える。しかるべきタイミングで説明できることは説明させていただく」とコメントした。

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