【夏場所】横審委員長が取りこぼし連発の大関陣を叱咤「番付崩壊ということになりかねない」

左から琴桜、豊昇龍、霧島

横審も嘆き節だ。大相撲夏場所5日目(16日、東京・両国国技館)、大関カド番の霧島(28=音羽山)が新小結大の里(23=二所ノ関)に寄り倒されて4敗目。序盤の5日間を終えて、横綱大関陣の安泰が1日もない異常事態となっている。

この日は、横綱審議委員会による本場所総見が行われた。山内昌之委員長(東大名誉教授)は、横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)の2場所連続休場について言及し「これが繰り返されないように、体調に万全を期してほしい」と現時点で静観の構え。一方で、横綱候補でもある大関陣に対しては厳しい目を向けている。

大関貴景勝(常盤山)は3場所連続の休場となり、来場所は9度目のカド番が決定的。「カド番になって、カド番を脱出して、またカド番で…。大関は横綱に準ずる地位。横綱が休んでいる時は、横綱のようなものですからね。出処進退というのも、問われる時期がくるのでは」と苦言を呈した。他の3大関も、序盤で格下への取りこぼしを連発。この惨状を受けて、山内委員長は次のように斬り捨てた。

「本当に残念なこと。役力士が平幕力士に簡単に負けたら困る。番付崩壊ということになりかねない。各力士が、もう少し番付の重みというものを理解してほしい。例えば、(大学院の)ゼミで毎回毎回、私の読み方や解釈の仕方が間違っていると大学院生に教えられるという…。1回ぐらいなら〝金星〟になるけれど、毎回となると〝金星〟でも何でもない。最近は(格下の力士が)大関を破っても、ありがたみがない」

先場所も、幕内尊富士(伊勢ヶ浜)に110年ぶりの新入幕優勝を許すなど、上位陣のふがいなさが目立った。大関陣は横審の叱咤激励に応えることができるのか。

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