福士蒼汰×松本まりか 互いに“美しい”と感じるのは「お芝居のためなら何でもする覚悟」「追求する姿勢」

福士蒼汰さんと松本まりかさんが、お互いの“美しい”と感じた一面を明かしました。

福士さんと松本さんのW主演映画『湖の女たち』が公開されます。本作は、吉田修一さんによる同名小説(新潮文庫)が原作。

【写真】大人の雰囲気!ブラックコーデの福士蒼汰、松本まりか 撮り下ろしカット

介護施設で殺人事件が発生し、刑事の濱中圭介(福士)と伊佐美祐(浅野忠信)は、施設職員に執拗な取り調べを敢行。その陰で、圭介は取り調べで出会った介護士・豊田佳代(松本)への歪んだ支配欲を抱きます。

一方、事件を追う週刊誌記者・池田由季(福地桃子)は、この事件と警察が隠蔽してきた薬害事件の関係を突き止めますが、恐るべき真実が浮かび上がり…。“過去の罪”と“未来への光”が拮抗するヒューマン・ミステリーです。

今回、初共演となった福士さんと松本さんにインタビュー。この作品を通じて変化したこと、今ハマっていることのほか、もし監督として相手を撮るなら…といったことを聞きました。

福士蒼汰 撮影3日目まで「ほぼすべてのお芝居にご指導いただいた」

――原作や脚本を読んだ第一印象はいかがでしたか?

福士:初めて読んだときから今もそうですが、感想は一つではないと思います。いろいろな解釈ができるという点で、抽象画を見ている感覚に近いかもしれません。広い美術館のなかで、並べて飾ってある抽象画と具象画を見比べて、関連性を考えさせられるような感覚です。

松本:私は先に脚本を読んだのですが、「これは一体どういう作品なのだろう…」と、すぐには理解できませんでした。「面白い」とか「こういう作品だ」と簡単に言語化できる作品ではないですし、自分の経験値も知識もまだまだ足りない、理解度も浅いと思わされました。

――福士さんは完成披露舞台挨拶で「この作品がターニングポイントになった」と話していましたが、この作品以降、自身のなかでどんな変化を感じますか?

福士:今回、撮影3日目あたりまでは、ほぼすべてのお芝居に大森立嗣監督からご指導いただいたんです。「もう1回やって」と。心がヒリヒリしたけれど、これがリアリティのあるヒューマンドラマを撮るうえでの、役者に必要な心構えなんだというのを学びました。

『湖の女たち』の後にドラマの撮影がいくつか続いたのですが、自分のお芝居がうまく調和するときとしないときを実感しました。映画は“静”のお芝居が多いのですが、ドラマも“静”で演じると、伝わりにくさを感じて。ヒューマン作品とエンターテインメント作品の、見せ方の違いが面白いです。

松本:それわかる、面白いよね。私も、『湖の女たち』と真逆のようなエンタメ作品の撮影をしていると、演技も正反対だなと感じます。「それって!?」「どういうこと!?」みたいな、思っていることを全部顔に出すわかりやすいお芝居だったり(笑)。

福士:確かに、ドラマは映画よりも大きなお芝居が必要なときがありますよね。

松本:そういった芝居でも“ウソ”ではなく“本当”のお芝居をしようというのは、『湖の女たち』以降、さらに意識するようになりました。“本当”というのは、「次はこう動こう」「この声で話そう」と決めておくんじゃなくて、そのとき自分の内側から出てきたもので勝負するということ。

自分でも次にどう動くかわからない状態で演じるのはやっぱり楽しいし、表現方法が変わろうとも、そういうお芝居の根本は失っちゃいけないと思いました。

松本まりか 芝居中の福士蒼汰に感嘆「怖さは美しさであり色気」

――劇中に「世界は美しいのだろうか」という言葉が登場しますが、2人がお互いに「美しい」と感じた一面はありますか?

松本:福士くんは…。

福士:ぜひ聞きたいです!

松本:(笑)。“信頼できる人”だと思います。自分のお芝居を突き詰めていて、仕事に甘さがない。口では「気楽にやってますよ」と言っていても、本当は誰よりも表現を追求している。その姿勢が美しいですね。

あとやっぱり、役柄の圭介としての姿がとても美しかったです。撮影中の福士くんはまさに圭介そのもので怖くて恐ろしさすら感じましたが、その怖さは美しさでもあり、色気でもあると思います。醸し出すものが美しいです。

福士:松本さんは肝が据わっていて、“お芝居のためなら何でもします”という覚悟を感じます。その覚悟に引っ張られて、僕を含め共演者の皆さんも、「自分ももっとできるぞ!」と思わされたり、自由に演じられたりするのではないでしょうか。

松本さんは一見、柔らかい雰囲気ですが、大変なことも「大丈夫です!」とまっすぐ言えてしまう強さを持っているというか。そういうカッコよさが、美しいなと思います。

――多忙な日々かと思いますが、最近ハマっているものがあれば教えてください。

松本:コーヒーです!浅煎りコーヒーに出会ってしまって。浅煎りコーヒーの世界ってすごいんですよ!みなさんにも知ってほしいです!

福士:コーヒーの専門店に行くんですか?

松本:そう。コーヒーショップっていろいろな所にあるから、忙しくても手軽にハマれる趣味として楽しんでいます。自分で豆を挽いたりはしていないですが、自分が美味しいと感じるコーヒーを追求しています。

福士:素晴らしい!僕はオーツミルクラテが好きで、少し前から飲んでいます。いつも、なんとなく普通のラテを飲んでいたのですけど、ロサンゼルスへ行ったときに「オーツミルクラテにしてみよう!」と初めて口にしてみたら美味しくて、帰国してからもずっと飲んでいます。

福士蒼汰 松本まりか主演作を撮るなら“超能力者”役をオファー!?

――福士さんは昨年「アクターズ・ショート・フィルム」で監督デビューしましたが、もし松本さん主演で作品を撮るなら、どんな内容にしたいですか?

福士:そうですね…超能力を使ってほしいです。超能力で相手をコントロールできるけど、実は悲しい秘密を抱えていて、超能力を使うごとに何かを失っていくとか。

松本:めっちゃ面白い!

福士:最終的には自分の命を失ってしまうから、本当は超能力を使いたくないけど、 最後は誰かを守るためにその力を使う。松本さんは、はかない役が似合いそうですし、超能力が使えそうな気がします(笑)。

松本:すぐストーリーを考えられる才能はすごいけど、私どういうイメージなの(笑)!?

福士:地球外生命体みたいな…異次元の世界にいそうで、いても納得できる説得力を持っていると思います。

松本:あはは!異次元系か。

――松本さんは、福士さん監督作品に出演するならどんな役がいいですか?

松本:福士くんの相手役をもう一度やりたいですね。 『湖の女たち』とは全然違う、もっと素に近い柔らかい役柄で。この作品が描く愛の形はだいぶ特殊なので、まったく違う設定だったら面白いかな。

福士:僕もその映画出ます。監督兼出演で。

松本:じゃあ、被害者役をやって。私が守ってあげるから。『湖の女たち』と逆で、今度は私が福士くんを支配する役ね。楽しそう!

福士:面白そうですね。たとえば記憶が消えてしまう病を持っている。でも唯一、松本さんのことだけ覚えている。いや、松本さんも忘れるか…。

松本:私のことは覚えていて!で、最終的に忘れちゃいそうになる。

――ものの数分間でこんなにアイデアが広がる2人を見ていると、この作品が実現しそうな気がします。

松本:監督、よろしくお願いします。

福士:監督兼出演、なかなか大変そうです。

松本:私、助監督やるよ!

福士:それはありがたいです(笑)!

撮影:YURIE PEPE
■福士蒼汰 ヘアメイク:矢澤睦美(wani)、スタイリスト:オクトシヒロ
■松本まりか ヘアメイク:福岡玲衣(TRON)、スタイリスト:後藤仁子

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