真矢ミキ、役者の仕事は「日常をどう過ごしてきたかが、丸見えになる」東京オリンピック開会式は「急に飛び込んできた」

真矢ミキ 撮影/三浦龍司 ヘアメイク:小澤久美子、スタイリスト:佐々木敦子

「タカラヅカの革命児」と呼ばれるほど様々な新風を吹き込んだ、宝塚の元トップスター・真矢ミキ。退団後は舞台から映像の世界へと活動の場を移し、映画『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の警視監役で大ヒット。映像界でも人気俳優となった。俳優だけでなく朝の情報番組の司会や東京五輪開会式の舞台など、新しいことにチャレンジし続けてきた彼女の「THE CHANGE」とは――。【第4回/全4回】

2021年7月23日。東京オリンピックの開会式で、テレビを観る私たちの目に飛び込んできたのが、棟梁姿の真矢ミキさんだ。芸能生活40周年を迎えたタイミングでのサプライズ。凛とした姿は、世界中へと届けられた。

「急に飛び込んできた話なんですよ。私もびっくりしましたね。意外なところから変化球が飛んでくることがあるから、人生面白いなと思います。キャスティングしていただくときって、その方々が私の過去の何かを記憶していて、それが頭に思い浮かぶから話をくださるのだと思うんです。だからこれからも、記憶に残る仕事を残していきたいですね」

人々の記憶に残る仕事を重ね、還暦を迎えた真矢さん。俳優としての確固たる地位を築きあげているように思えるが、本人にとってはいまだに芝居は難しく、役者としてもまだまだ、という。

いまでも課題が見えてくる

「役を演じるたびに、いつも課題が見えてきます。だからもっといろんな役を演じて、成長していきたいですね。年齢を重ねたからこそできる、味わい深い役を演じていきたい。観る人の心のひだに触れるような、そういう芝居ができたら嬉しいな」

Season2の放送・配信を開始したドラマ『TOKYO VICE』では、渡辺謙さん演じる刑事・片桐の相棒、長田を演じている真矢さん。警察官の役はこれまでも数多く演じてきたが、今の真矢さんにしか出せない芝居が、観られるはずだ。

真矢ミキ 撮影/三浦龍司

真矢さんはこれからの人生も、芝居と向き合い続けたいという。そのために、日常生活をどう送るかを、大切にしていく。

「日常をどう過ごしてきたかが、丸見えになるのが役者の仕事だと思います。その人の人間性が、芝居には出てくるように感じますね。自身が過ごしてきた人生で出会った、人や環境から何をどうとらえてきたのか。深く思考して、学び続けることで、自分の表現を広げていきたいです」

表現を通して、自分自身が露わになる。そのことに長年向き合ってきた真矢さんが、今後どのような活躍をするのか楽しみだ。

真矢ミキ(まや・みき)
1964年、広島県生まれ、大阪府出身。81年宝塚歌劇団に入団し、花組のトップスターとして活躍。日本武道館でのソロコンサート、篠山紀信撮影による写真集の出版など、独自のアイデアによる活動で「タカラヅカの革命児」と呼ばれた。98年退団後は、俳優として、数多くの映像やドラマに出演。2015年より4年半、朝の情報番組『ビビット』(TBS系)の司会も務めた。近著に書き下ろしエッセイ『いつも心にケセラセラ』(産業編集センター)。

© 株式会社双葉社