大分県内の梅雨入りは5月下旬か 気象協会予測、降水量は増える見込み【大分県】

県内の梅雨入り日
線状降水帯と情報発表のイメージ
昨年7月10日に発生した線状降水帯

 日本気象協会は16日、大分県を含む九州北部の梅雨入りは平年より早い5月下旬になるとの予測を発表した。雨量も平年より多いと予想した。県内では近年、梅雨時季に大規模な水害が繰り返し発生している。今年も本格的な雨のシーズンが近づき、災害への警戒が必要になる。

 同協会九州支社などによると、フィリピン付近で大気の対流活動が今後活発化する見通し。この影響で太平洋高気圧の勢力が強まり、梅雨前線が九州付近まで押し上げられる時期が早くなるという。

 湿った空気が太平洋高気圧の縁を回って例年以上に流れ込みやすく、降水量も増えると見込む。

 同支社は「大雨に早めに警戒をし、対策を心がけてほしい」と話した。

 県内の梅雨入りは平年が6月4日。昨年は5月29日だった。

 県内は2012年7月の豪雨以降、梅雨時季にたびたび災害に見舞われている。昨年は大雨による土砂災害や川の氾濫で2人が死亡。梅雨明け当日の7月25日にも雨で増水した川に2人が流されて亡くなった。

■線状降水帯の半日前予測は県単位に

 局地的な豪雨をもたらす「線状降水帯」の発生を6~12時間前に予想する気象庁の「半日前予測」が、これまでより範囲を絞った県単位での発表に変わる。新たなスーパーコンピューターの導入で予測の精度が高まり、28日から運用を始める。県内は昨年、梅雨時季を含めた7、8月に計3度発生しており、大分地方気象台は「身を守る行動につなげてもらいたい」と呼びかけている。

 線状降水帯は、発達した積乱雲が同じ場所で次々と発生し帯状に連なる現象。九州北部は対馬海峡付近に延びる梅雨前線の動きに沿って形成されやすい。台風に伴ってできることもある。

 県内では昨年7月10日、中津市の女性が氾濫した川に流された大雨で、西部から北部にかけて2度発生。8月10日には台風6号の接近で南部に現れた。

 気象庁は2022年6月から半日前予測を運用。これまでは全国11ブロックの地方単位で警戒を呼びかけてきた。大分県を含む「九州北部」は昨年2回発表していずれも線状降水帯ができた。予測がなく発生したケースも3回あった。

 的中率は現状で4回に1回程度。ただ、結果的に線状降水帯にならない場合でも激しい雨が降り続くことが多いという。

 大分地方気象台は「心構えを一段と高めて、ハザードマップの確認、持ち出し品の準備などの対応につなげてほしい」と話した。

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