5月17日は世界高血圧デー!高血圧って何が怖いの?

毎年5月17日は世界高血圧デー(World Hypertension Day)です。
日本でも同日を高血圧の日として制定しています。
その啓発活動として、日本各地でライトアップなどのイベントが開催されます。

世界高血圧デーはなぜ始まったのか?

世界高血圧デーは2005年に国際高血圧学会の一部門である世界高血圧連盟(WHL)より、高血圧およびその管理に関する啓発を目的として創設されました。
厚生労働省によると、日本人のおよそ2人に1人が高血圧といわれています。
高血圧はさまざまな病気の原因となるため早期発見・早期予防が重要ですが、高血圧は自覚症状に乏しく、高血圧患者の約4割が病院受診をしていないといわれているほどです。
日常生活の行動次第で高血圧のリスクは減少するので、このような啓発活動が積極的に行われています。

なぜ高血圧は体に悪いのか?

高血圧は、血管の壁に対する血液の圧力が高まっている状態をいいます。
なんらかの要因で血管の収縮や血液量の増加などが起こり、細い血管をギュウギュウと押しているイメージです。
その状態が続くと血管はもろくなり、血管が破れて脳出血を引き起こすこともあります。
血液を全身に送り届ける心臓にも負担がかかるので、心不全につながるおそれもあります。

では、どうしてそのような高血圧状態になるのでしょうか?
血液量が増加して高血圧になる要因のひとつに塩分の取りすぎがあります。
塩分を取りすぎると、血中のナトリウム濃度が上昇します。
その際に、体はナトリウム濃度を一定に保とうとするため、血管に水分をたくさん取り込みナトリウム濃度を薄めようとします。
その結果、血管内を流れる血液が増え、血管の壁を押す力が強まり、高血圧となります。

今すぐできる!高血圧対策

高血圧は、知らず知らずのうちに体を蝕むため、できるだけ早いタイミングで対策が必要です。
そこで、今日からできる高血圧対策をご紹介します。

① 減塩食・高カリウム食を心がける

まずは体内の塩分量を減らすことが大切です。
塩分は人間にとって不可欠なため、塩味の強い食事はおいしく感じやすいですが、塩味の強い食事を続けると薄味では満足できなくなってしまいます。
お酢やお出汁、スパイスなどを普段の食事に取り入れることで、塩味以外の旨味、甘味、酸味などを感知する力を鍛えることができます。
ハムやちくわなどの加工食品を控える、ラーメンの汁は残す、かけ醤油ではなくつけ醤油にするなどの工夫も効果的です。
また、カリウムには塩分を排出する役割があるので、バナナ、ブロッコリー、ほうれん草などのカリウムを豊富に含む食材を積極的にとるのもおすすめです。

② 適度な運動

適度な運動をすると、筋肉に酸素や栄養を運ぶために血管が広がります。
運動をしておくと安静時には血管を収縮させる交感神経の緊張が緩和され、血管が広がり血圧が下がります。
減量はハードルが高いと思う方は、階段を使う、一駅分歩く、ラジオ体操をするなどの簡単な運動から取り入れてみてください。

③ ストレスを溜めない

ストレスは交感神経を優位にします。
寝不足もストレスの原因となるので、十分な睡眠をとることが重要です。
意識的に眠ろうとすると逆効果になることもあるので、眠くなったらベッドに向かい、朝は同じ時間に起きるのがよいでしょう。
夜間の睡眠を促すメラトニンというホルモンが、習慣的な睡眠の約2時間前から分泌されるといわれていますが、明るい光はメラトニンの分泌を抑えてしまうので、寝る前の2時間ほど前から部屋の明かりを暗くするなどの工夫も効果的です。

④ たばこ・アルコールを控える

飲酒・喫煙は交感神経を優位にします。
しかし、いきなり禁酒するとかえってストレスになってしまうこともありますので、一日の摂取目安量を参考にしながら節酒するなどの工夫をしてみてください。
たばこを吸う本数を徐々に減らすのは、ニコチン依存の観点からあまり効果がないといわれていますので、専門職の力を借りるのもよいでしょう。
近年では、禁煙外来の受診費用を自治体や会社が負担してくれるケースがあります。
もし、職場などで産業医・保健師に相談する機会があれば、どのように禁煙できるか相談してみるのもよいですね。

⑤ お薬でコントロール

すでに高血圧の方は、お近くのかかりつけ医に相談してみましょう。
放置している間に血管はどんどん傷ついていきますので、降圧薬を飲んで血圧をコントロールすることも大切です。
また、自分が高血圧か分からない方は、職場の健診結果を確認してみてください。
高血圧治療ガイドライン2019によると、自宅や職場で計測した血圧が135/85mmHg以上で高血圧とされています。
ショッピングモールや薬局、市役所などに血圧計が設置されていることもありますので、見かけた際はぜひ活用してくださいね。


世界高血圧デーは、国宝の姫路城をはじめとしたさまざまな場所でライトアップが行われる予定です。
ぜひ、お近くでライトアップが行われていないか調べていただき、運動がてら見にいってみてはいかがでしょうか。

<参考>
・ 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧の日について」
・ 厚生労働省eヘルスネット「高血圧」
・ 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

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