鉄製のふた500枚超盗難 吉川区に被害集中 農業者 困惑、憤り隠せず

鉄製のふたが盗まれ、上部がむき出しになった給水栓(吉川区大乗寺)

吉川区の田で、給水栓の鉄製のふたが大量に盗まれる被害が起きている。確認されている被害状況は約260カ所で計520枚。同地で稲作をする農業者は初めての事態に困惑と憤りを覚えている。

吉川土地改良区によると、大きく被害が確認されているのは竹直と大乗寺の2地区で、竹直で約300枚、大乗寺で約100枚。雪解け後の農作業準備に入る2、3月ごろから被害が判明。一部では鉄製の排水升のふたも盗まれた。

給水栓はパイプラインを通った水を田へ流す。鉄製のふたは2枚一組で給水栓を保護する役割。盗まれた場所では応急措置として木製の板や合板を設置した。ほかの地区では盗難を防ぐため鉄製のふたを撤収した。大乗寺生産組合の関沢智実代表理事(71)は「初めての事態。憤りを感じる」と表情をしかめる。竹直生産組合の高野幸夫代表理事(62)も「悪質で、迷惑な話だ」と困惑を隠せない。

吉川土地改良区の井上隆之事務長(48)によると、竹直と道を挟んで隣接する柿崎区側では鉄製のふたがそのまま残っており、何者かの仕業に「不思議に思っている」と首をかしげる。

大潟区と、頸城区と吉川区の一部を所管する大潟あさひ土地改良区でも吉川区の山方、田尻、梶の3地区で約60カ所、計120枚の被害を確認した。いずれの土地改良地区でも上越警察署に巡回の強化を要請。農業者に注意を呼びかけている。

関川水系土地改良区に聞いたところ、鉄製の矢板の被害は一部であったが、同様のふたの被害は管内で確認されていないという。

鉄製のふたが設置されている本来の状態

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