世界初 素粒子ミュオンの冷却・加速に成功 岡山大などの研究グループ

高エネルギー加速器研究機構、岡山大学、名古屋大学などの研究グループは17日、素粒子ミュオン(ミュー粒子)を冷却し、光速の約4%まで加速することに世界で初めて成功したと発表しました。

ミュオンは1936年に宇宙線として初めてみつかった素粒子で、茨城県東海村にあるJ-PARC(大強度陽子加速器施設)で陽子を加速して作ることができます。ただし、向きや速さがバラバラなため、実験などには不向きです。研究グループは、ミュオンをいったん光速の0.002%にまで“冷却”し、ほぼ停止状態にしてから、正ミュオンに高周波の電場をかけて加速しました。これにより、向きがそろった状態で光速の4%の速さ(秒速約1万2000km)まで加速することに成功したということです。

この方法を用いれば、さらに加速して指向性が極めて高いミュオンビームを得ることができるとしており、研究グループでは最終的に光速の94%まで加速する予定です。

高エネルギー加速器研究機構の三部勉教授は、今回の成果により「素粒子標準理論に含まれない未知の素粒子や物理法則の存在を明らかにしたい」としており、今回実現したミュオンの冷却・加速技術によって、世界で初めてのミュオン加速器を実現できるとしています。

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