MCUの映画&ドラマの関係性に変化? 『アガサ』『デアデビル』は他作品とどう繋がるのか

こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回はマーベル・シネマティック・ユニバースのドラマについて大きな進展がありました。

まずここ最近、アメコミ映画周りで大きなニュースが続きました。DCでは、ジェームズ・ガン監督が2025年7月11日全米公開の『スーパーマン(原題)』からデヴィッド・コレンスウェット演じるスーパーマンのコスチューム姿をお披露目。今度のスーパーマンはクリストファー・リーブ版同様赤パンツを履いています!

さらに、ドラマ『ハウス・オブ・ドラゴン』のミリー・アルコックが主人公を演じる『スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー(原題)』の全米公開が2026年6月26日と発表。

マーベルでは、ニコラス・ケイジが異色のスパイダーマン、スパイダーマン・ノワールを演じる実写ドラマ・シリーズ『ノワール(原題)』が製作決定(おそらく日本ではPrime Videoで配信?)。同キャラはアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』に登場しており、この声をニコラス・ケイジがあてています。

そして、MCU超大作『ファンタスティック・フォー』(2025年7月25日全米公開)に登場する宇宙魔神ギャラクタスをラルフ・アイネソンが演じると報じられました。この役者さんは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のラヴェジャーズの1人を演じていて、最近だと『オーメン:ザ・ファースト』に印象的な神父役で出ています。さらにこの映画にはジョン・マルコヴィッチも出演の模様というわけです。

そしてここにきて、先日NYで開催されたディズニーグループの業界向け発表会「Disney Upfront 2024」において、ディズニープラス配信のMCUドラマ3本について大きな発表がありました。それは、

『アガサ:オール・アロング(原題)』を今年の9月18日に2話同時配信
『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』を2025年3月に配信
『アイアンハート(原題)』を2025年中に配信

というものです(日本の配信時期は未定)。

各作品についてざっと触れておくと、『アガサ:オール・アロング(原題)』は『ワンダヴィジョン』に登場した魔女アガサを描きます。“アガサ:オール・アロング”とは“すべてアガサの仕業”という意味。この作品はプロモーションの一環なのか本当にドタバタしていたのかわかりませんが、タイトルが二転三転しており、『アガサ:ハウス・オブ・ハークネス』『アガサ:カヴン・オブ・カオス』『アガサ:ダークホールド・ダイアリーズ』『アガサ:ザ・ライイング・ウィッチ・ウィズ・グレート・ワードローブ』ときて本タイトルです。なお“アガサ:オール・アロング”は『ワンダヴィジョン』の中でアガサ登場シーンの歌のフレーズにも使われています。『ワンダヴィジョン』のスピンオフという感じでしょうか?

アガサを主役でどう盛り上げるんだろうと思いますが、『ホークアイ』に登場したキャラのスピンオフ『エコー』も面白かったので期待できそうです。ただもしタイトルが『アガサ:ザ・ダークホールド・ダイアリーズ』だったら、ダークホールドは映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にも出てきた(そしてワンダが使っていた)禁断の魔書ですからワンダのその後も描かれる内容になっていたかもしれませんね。

気になるのはもともとこのアガサというキャラ、原作コミックではファンタスティック・フォーでデビューしたキャラであり、Mr.ファンタスティックの息子フランクリンの面倒を見ています。なので、このドラマ『アガサ:オール・アロング(原題)』が映画『ファンタスティック・フォー』に何らかの形で繋がるのでしょうか。

『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』はファン待望の、けれどいろいろやきもきさせてくれる期待作です。主人公は表世界では弁護士マット・マードック、そして裏の世界では法では裁けぬ悪党と戦うヒーロー、デアデビルになります。盲目ですがすぐれた身体能力と超感覚の持ち主。このデアデビルはNetflixでチャーリー・コックスが主人公を演じるドラマシリーズが3シーズンほど作られました。このNetflixのシリーズはゆるーくMCUの世界観と繋がっている感じですが、Netflixとの契約が終わり、改めてディズニープラス用にデアデビルの新しいドラマが作られるようになった、その第1弾というわけです。

ただこのドラマ以前にチャーリー・コックス演じるマット・マードックはすでに映画『スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム』、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトー二ー』『エコー』にも登場し、MCUでの本格デビューに向けての下地作りは十分に行ってきました。今回の『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』がNetflix版のテイストを受け継いだ、事実上の“デアデビル シーズン4”になるのか、それともNetflix版を引きずらないブランニューに仕上がるのかわかりませんが、恐らく前者だと思います。

というのも、『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』は製作している途中で、製作陣がなんかしっくりこないということでそれまで撮っていたもの、用意していた脚本等をすべてキャンセルして新たに作り直したそうです。その新たな仕切り直しにおいて、Netflix版『デアデビル』に出ていたキャラやキャストが復活したようなので、ここから考えるに「当初はNetflix版とは異なるデアデビルを目指したが、やっぱりNetflix路線に戻した」のではないでしょうか? 一つ気になるのはサンディエゴ・コミコンの発表の際、『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』は全18話と言われていましたが、チャーリー・コックスは9話分の撮影を終えたと言っています。

18話から9話に変更されたのか、それともシーズン1=9話、シーズン2=9話と分けて、とりあえずシーズン1用の撮影が終わったということなのか。なおこのシリーズのメイン・ヴィランは、Netflix版からも登場するヴィンセント・ドノフリオ演じるウィルソン・フィスク/キングピンです。『エコー』の最後で彼がNY市長になることが示唆されているので、デアデビルはNY市長になったキングピンと戦うのでしょうか。そしてキングピンというのは、コミックではスパイダーマンのメインヴィランの一人です。ということは! ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』からトム・ホランドの映画『スパイダーマン4(仮題)』に繋がる可能性もあります。

『アイアンハート(原題)』は映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』に登場し、手製のアイアンマンスーツを着る天才少女リリ・ウィリアムズが主役。アイアンマンものの一種なので、ローディことウォーマシーンが活躍する映画『アーマーウォーズ(原題)』に繋がると思っていたのですが、まだまだ『アーマーウォーズ』の製作について具体的なインフォがありません。もしかすると、最終話にカマラ・カーン(ミズ・マーベル)が現れてリリをヤング・アベンジャーズにスカウトする展開? また、この『アイアンハート(原題)』には冥界の王メフィストが出るとも言われており、メフィストはゴーストライダーと切っても切れないキャラですからゴーストライダーへと繋がる可能性も考えられます。

今回の発表をみてちょっとびっくりしたのがタイトルロゴに「MARVEL STUDIO」ではなく、「MARVEL TELEVISION」と入っていることです。マーベルはもともと映画部門とTV(ドラマ)部門を分けていて、例えばドラマ『エージェント・オブ・シールド』やNetflixの『デアデビル』などは、MARVEL TELEVISIONの管轄だったのですが、MCU×ディズニープラスの『ワンダヴィジョン』あたりからドラマもMARVEL STUDIOが担当することになりました。これは配信ドラマと映画をよりリンクさせるためです。しかしまた部門を2つに分けたようですね。これは映画とドラマの両方を1つの部門がみるとやはりクオリティが下がる、映画は映画、ドラマはドラマできちんとクオリティ管理しようということになったからでしょうか?

というわけで、これからの映画とドラマの関係にまた変化が起こるかもしれませんが、こちらとしてはまず映画として面白い、まずドラマとして楽しめる、その上で両者がうまく連動してくれたらなお良しなわけでマーベルの新体制がいい結果を出してくれることも期待したいですね。
(文=杉山すぴ豊)

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