祭り開催へ支援拡充 能登の伝統絶やさず、県6月補正予算案

過去に開催された(写真右上から時計回りに)能登町のあばれ祭、輪島大祭、珠洲市の飯田燈籠山祭り

  ●文化振興基金200億円に

 能登半島地震の被災地の伝統文化を次代につなげようと、キリコ祭りに象徴される各地の祭事開催を支援するため、石川県は「いしかわ県民文化振興基金」を200億円に積み増す。これまでの120億円から大幅に拡充、新たな運用益を祭りの経費や用具の修理に活用してもらう。「ポスト国民文化祭」として、隔年から毎年開催となることが決まった「ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭」にも使い、県民が文化に親しむ機会を充実させる。

 県6月補正予算案に関係費を計上する。

 七尾以北の6市町には約700の祭りが根付いている。ただ、地震の影響で5月に開催された七尾市の青柏祭(せいはくさい)は、山車(だし)「でか山」の巡行が中止された。夏にかけて、珠洲市の飯田燈籠山(とろやま)祭り、能登町のあばれ祭(まつり)、輪島大祭など各地でキリコ祭りのシーズンを迎えるが、寄付を募りにくかったり、使用する道具類が損傷したりと開催をためらうケースが少なくない。

 地震の被害が大きかった地域を中心に、伝統文化をつなぐ機会が失われかねないことから、県は集落ごとの小規模な祭礼まで幅広く財政面から支援し、開催を後押しする。馳浩知事は地震発生2カ月に合わせた北國新聞社の単独インタビューで「祭りを復活させようというところには支援する必要がある」と話していた。

  ●秋の芸術祭毎年開催 舞台芸術中心に企画

 一般財団法人県芸術文化協会や実行委と共に主催するビエンナーレは、この秋から毎年開催の「いしかわ秋の芸術祭」(仮称)となる。県は春の「ガルガンチュア音楽祭」(北國新聞社特別協力)と並ぶ大型イベントに位置付け、舞台芸術を中心とした企画を実施する。

 昨年秋の13回目は国民文化祭と一体的に開かれた。昨年2月の県成長戦略の有識者会議で、芸文協の飛田秀一会長が「ポスト国民文化祭」の取り組みとして毎年開催を提言し、戦略に盛り込まれた。芸文協は今年3月の理事会で毎年開催を承認している。

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