【ロッテ】佐々木朗希〝好不調の波〟はMLB評価に影響なしか 獲得狙うドジャースの「計算」

前回と一変し、160キロ台の直球も披露したロッテ・佐々木朗希

早々と〝令和の怪物〟の獲得に向け、前のめりになっているようだ。ロッテ・佐々木朗希投手(22)は17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で8回106球、今季最多の12奪三振を奪う力投で3安打1失点。自身の勝敗はつかず、今季4勝目はお預けとなった。そんな右腕を巡っては、相変わらずポスティングシステムによる今オフのMLB移籍を切望しているとささやかれており、中でも最有力候補と目されるドジャースから〝ロックオン〟されているという。好不調の波も気にせず、佐々木獲りを目指すドジャースの狙いとは――。

この日は安定感抜群だった。初回から佐々木は150キロ台後半の直球と鋭く落ちるスプリットを中心に組み立てつつ、日本ハム打線を圧倒。2回の万波の打席では今季自己最速となる162キロをマークするなど、6回までわずか1安打という抜群の投球を披露した。

1点リードの7回に郡司、マルティネスの連打後、無死二、三塁から細川の左犠飛で失点したものの、許した得点はこの1点だけ。結局、同点のまま8回106球を投げ終え、救援陣にマウンドを託した。今季最長となる8回を投げ、12奪三振を含む3安打1失点の好投だった。

試合は1―1のまま延長戦に突入し、12回引き分け。試合後の佐々木朗は「点は取られてしまったけど、自分らしい投球ができた。個人的には次につながると思う」と前向きに振り返った。

とはいえ、ここまで今季の佐々木には好不調の波がはっきりと現れる傾向も目立つ。特に前回登板の日本ハム戦(10日、エスコン)では変化球中心の組み立てが不発に終わり、6回途中で自己ワーストタイとなる5失点KO。降板後にはベンチ床をスパイクで蹴り上げるなど、イラ立ちを隠せないほどの大乱調ぶりだった。

こうした感情の起伏や不安定ぶりは一見すれば、米移籍を狙う佐々木にとってマイナス材料になると思われる。しかし、米メジャー関係者によれば「全く問題ではない」という。

すでに複数の米有力メディアでも報じられているように、大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が属するドジャースが今オフの佐々木獲得を視野に入れているともっぱらだ。その上で前出の関係者は「少なくともドジャースは試合ごとのササキの投球内容に関しては気にしていない。心配はケガだけ」と断言し、次のように打ち明ける。

「仮にドジャースが今オフにササキを獲得しても、すぐに戦力として先発ローテーションに入れる必要はない。来季はオオタニがチームの大黒柱として投手に本格復帰する予定であり、カーショーら故障組の先発投手も次々とチームの先発に復帰してくる。もっともドジャースは、そんなチーム事情を見越して佐々木を1年間かけてメジャーで活躍できる投手に育てるつもりなのだろう。だからこそケガに気をつけながら、今のうちに(NPBで)さまざまなことにチャレンジしてくれればいいと考えている」

今季の佐々木は、ここまで試合序盤から160キロを超える直球を連発するような全力投球を封印。意図的に球速を落としたり、変化球を多めに交ぜるなどして新たな投球スタイルを模索し続けていた。ただ、その微調整とフォームが合わず、調子を落とすケースも目立っていた。

だが、この日の日本ハム戦では多数のMLBスカウトが見守る中、再び試合序盤から160キロ超の剛球を〝解禁〟。元のスタイルに戻したことで、再び調子が上向きになるかもしれない。

「ササキは今も毎試合、テーマを持ってマウンドに上がっている。こうした動きもメジャー、特にドジャースは把握している。ササキもチームの勝利に貢献する気持ちはもちろんあるだろうが、個人目標はあくまでメジャー。今季はこのまま試行錯誤を繰り返す投球が続くのではないだろうか」(前出関係者)

MLB側も「お墨付き」を与えている佐々木の投球の波。ドジャースが前のめりになり、評価が一向に落ちないのも当然なのかもしれない。

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