【オークス】一度使った上積み大きく条件も好転 京大競馬研の本命はチェルヴィニア

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持続戦で速い上がりが使える馬を中心に

5月19日(日)にオークス(GⅠ)が行われる。阪神JFの雪辱を果たし桜花賞馬に輝いたステレンボッシュをはじめ、桜花賞を強烈な末脚で追い上げたライトバック、スウィープフィート、トライアルのフローラSを勝利したアドマイヤベル、クイーンC覇者クイーンズウォーク、アルテミスS覇者チェルヴィニアなど多くの有力牝馬が集結。大混戦模様の非常に難解な一戦となった。

以下、本レースが行われる東京芝2400mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まず東京芝2400mのコース形態を見る。スタートは正面スタンド前の直線、初角までの距離は約350m。先行争いにおいて内外の有利不利はほとんどない。スタート後はしばらく平坦で、1コーナーから向正面半ばにかけて緩やかに下る。残り1200m付近にわずかな上り坂が設けられているが、それを越えると3コーナー中間まで再度下り。最後は新潟外回りに次いで2番目に長い約526m、高低差2.1mのなだらかな上り坂を持つ直線が待ち構える。

コース形態に大きな特徴があるわけではないが、直線の長い東京芝コースということもあり、やはり道中でしっかりと脚を溜め、最後に速い上がりを使える差し脚確かな馬が有利となっている。

これは数字からも明らか。オークスの直近10回で、上がり3F3位以内馬の成績は【9-5-5-15】勝率26.5%、連対率41.2%、複勝率55.9%、単勝回収率106%、複勝回収率203%と非常に優秀だ。10回のうち9回、上がり3位以内の馬が勝利している。

ただ、今回のレース質を判断する上でコース形態より重要になってくるのはその距離とローテーションだ。今年も全ての出走馬が距離延長となる。序盤はマイル戦に近いペースで流れ、前半5Fが60秒を切ることも少なくない。中盤にかけてポジション争いも終わり、ほとんどの騎手が折り合いに専念するため緩みやすい。そのため、ラスト3~5Fの持続戦で差し有利、というのがオークスのレース質だ。

速い上がりを使えることが必須条件というデータを示したが、ここで言う「速い上がり」とはキレが問われる32~33秒台の速さではなく、持続力勝負で長く良い脚が使えること。上がり3F34秒前後のタフな末脚であるということを念押ししておきたい。脚を溜めながら追走し、最後に長く良い脚が使える馬を高く評価して印を打つ。

続いて、今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内がある先行馬が6頭。出走馬18頭に対して少なくはない。2400mという距離に対して控える騎手意識も働くため、序盤から激しい先行争いとはならないだろうが、マイルを主戦場としてきた馬が多く、行きたがる馬を過度に抑えるとも考えづらい。激しい先行争いにならずとも、序盤のペースはそれなりに流れ、例年通りの差し有利なレース質を強めることになるだろう。

この展開で最も恵まれるのは道中内目でロスなく追走し、最後の持続戦では外に持ち出して末脚を伸ばせる馬だ。また、全ての牝馬にとって未知数な2400mという距離において、道中の折り合いや仕掛けどころはかなり重要であり、騎手の技量も重視して印を打ちたい。

帰還した名手と府中の舞台で復活

◎チェルヴィニア
桜花賞は長期休養明けで適性外のペースを大外枠から無理に先行し、高速決着のなか4頭分も外に回す競馬。この馬の本来の実力を全く引き出せておらず、評価を下げる内容ではない。前々走アルテミスSは前が壁で追い出しを待たされる不利のなか、ラスト3F11.4-11.2-11.0という加速ラップを上がり最速で差しきり、2着に0.3秒差をつける着差以上に強い内容。走破時計も優秀だった。

東京芝1600mの2歳戦を「走破時計1:33.8以内」「レース上がり5F57.9秒以内」「上がり最速」で勝利した馬はグランアレグリア、ナミュール、サリオスらGⅠ馬と本馬の4頭のみ。このラスト5Fを見るに、この馬の最大の魅力は中距離寄りのフラットなペースで運んだときの後半の強烈なスパート。今回の後半持続戦適性も高いと見る。叩き2走目の今回、折り合わせるのが上手く、オークス実績も確かな名手・C.ルメール騎手への鞍上戻りも最上。前走大敗でオッズも妙味ある。

◯ステレンボッシュ
桜花賞は外差し有利な展開が向いたとはいえ、中団馬群からJ.モレイラ騎手が外へスムーズに持ち出し危なげなく快勝。ゴール後のパトロールビデオを確認してもまだまだ脚が余っていた様子で、1頭だけカメラで追えないほど後続を突き放していたことからも大きな距離不安はない。今回のメンバーでもやはり能力最上位だ。道中しっかりと折り合って無難に中団から運び、前走同様直線でスムーズに追い出すことができれば勝ち負け必至だ。

▲クイーンズウォーク
桜花賞は近4走のうち最も速い流れを積極的に位置を取りに行ったことと、伸びない内を通ったことで最後伸びきれず0.6秒差8着。持ち味を出せずの敗戦で、そこまで評価を下げる内容ではない。前々走クイーンCは内有利な馬場をほぼ最後方から大外を回し上がり最速で差しきり勝ち。このとき、同重賞における後半5F最速となる57.7秒、また歴代2位タイ1:33.1というタイムを記録した。近2走の内容を見るにマイル戦の忙しい流れよりも中距離戦のフラットな流れで瞬発力を生かす競馬の方が向く印象。内枠から道中ロスなく立ち回れる点で展開的には最も恵まれる。こちらも前走大敗でオッズ妙味がある。

△サフィラ
クイーンCはそこまでのキャリア4戦で馬体重を落とし続けていたにもかかわらず、さらに馬体重-10キロで過去最低の432キロ。デビュー時454キロであったことを考えても明らかにマイナスな状態で、度外視可能だ。超ハイレベル戦であった阪神JFは内有利な競馬のなか、外々を回して4着と高く評価できる内容だった。今回は調教後馬体重も454キロと、状態面の回復は間違いない。前走の大敗で人気を落としすぎると想定され、オッズ妙味ありと見て4番手評価とする。

×ライトバック
桜花賞は外差し有利な展開が向いたとはいえ、勝ち馬ステレンボッシュを凌ぐ上がり最速の脚を使って追い込み0.1秒差3着と最も強い競馬。今回も差し有利な展開が向けば。

×スウィープフィート
ライトバック同様、桜花賞では外差し有利な展開に乗じる形で上がり2位、0.2秒差4着。こちらも展開が向けば。

×アドマイヤベル
フローラSは6番手追走から折り合いをつけ差しきる競馬。1800mでデビューした後、3走続けて東京芝2000mを使っている点からも、陣営のオークスへの強い期待が伺える。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△ワイド3点、◎-◯▲△×××馬連6点、3連複◎-◯▲△-◯▲△×××12点で勝負する。(花田)

▽オークス予想印▽
◎チェルヴィニア
◯ステレンボッシュ
▲クイーンズウォーク
△サフィラ
×ライトバック
×スウィープフィート
×アドマイヤベル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。



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