【ソフトバンク】今季最多「貯金15」の夜に… 王会長ポツリ「何が起こるか分からない」

球場に駆け付けた王会長

隙なく、前進あるのみだ。ソフトバンクは17日の西武戦(みずほペイペイ)に6―2の快勝。大事なカード初戦を制し、貯金を今季最多の15とした。これで西武との対戦カードは8勝2敗。シーズン開幕前から小久保監督は、強力先発陣を擁する難敵を大警戒していたが、蓋を開けてみれば〝お得意様〟と化している。

西武からしてみれば、今季のホークス戦は戦う前からネガティブにならざるを得ない戦績と言えるだろう。この日もそんな対照的な関係性が如実に表れた試合だった。2回に中村晃の先制打、周東の2点打で幸先よく得点。防御率1点台のモイネロの先発試合で序盤の3点は相手の戦意を削ぐには十分すぎる複数得点だった。さらに、3回は山川の12球団最速となる10号ソロで効果的に加点。5回には近藤の中押しとなる5号ソロで突き放した。主導権を一度も渡さない完勝劇は、両者の置かれた境遇を物語っているようだった。

37試合を消化して25勝10敗2分けの勝率7割超えで、2位につける日本ハムとは4ゲーム差。昨季まで3連覇のオリックスとは10・5ゲーム差まで広がった。ただ、チームに緩みは一切ない。首位を快走するチームの「今」を代弁したのは王貞治球団会長(83)だった。試合後、軽やかな足取りで球場をあとにする際、表情を一瞬だけ引き締めてこう言った。「何が起こるか、分からないからね」。これまでもチームが苦しい時は遠征先をサプライズ訪問して激励し、うまくいっている時はズシリと響く言葉を残してきた。

小久保監督も試合後「しっかり隙のない、その日、自分の組んだプランをやれるか。その積み重ねでしかない」と口元を引き締めた。貯金を〝今季最多〟に積み上げた夜、何度も頂点に立ってきた男たちの言葉は重かった。

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