【西武】所沢移転後ワーストの敗戦ペース 黄金期知るOB苦言「細かい指示、指導をしているのか」

劣勢にベンチで表情が曇る西武・松井監督(左)

西武が17日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に2―6と敗れた。5度目の3連敗を喫し、借金12。今季のホークス戦はこれで2勝8敗となり、その差は13・5ゲームにまで開いた。18日の同カードに敗れると、12球団最速で自力優勝が消滅する。

リーグ優勝18度、日本一10度の名門球団が、所沢移転46年目であってはならない屈辱的なシーズンを送っている。

ここまで38試合で13勝25敗(勝率3割4分2厘)はシーズン48勝95敗ペース(勝率3割3分6厘)。これは西武がクラウンライターから球団を買収し、フランチャイズを福岡から所沢に移転した1979年の45勝73敗12分け(勝率3割8分1厘=130試合制)を下回る西武ライオンズ史上ワーストペースだ。

この日の試合では先発ボー・タカハシが序盤2回に中村晃、周東の適時打で3点を先制され、3回に山川の10号ソロ、5回に近藤の5号ソロと相手のキーマンたちに次々と打点を決められ、あっさりと主導権を手放した。先発の役目を果たせなかった3年目右腕は「2回は相手打線にうまく対応された。3回と5回のホームランはしっかりとコースに決めることができずに甘い球を打たれてしまいました」と振り返った。その言葉を聞く限り、常勝軍団の歴史の重みなど、まるで知らないようだ。

常勝時代を知るライオンズ黄金時代のOBの1人は「まず打線が淡泊すぎる。打撃コーチは細かい指示、指導をしているのか」と指摘した上で、こう苦言を呈した。

「現有戦力を見て中村以外にポイントゲッターがいないわけだから、その中でどう得点していくのか。ノーヒットでどう得点を奪うか、それを徹底するしかない。初回に源田が9球粘って四球を選んだのに、次の外崎は2球目を簡単に打ち上げてセンターフライ。このシーンが象徴的だけど、打者は状況に応じていかに進塁打を打つか。ベンチはいかに状況を見て、エンドランや足を絡めた攻撃で先の塁を奪うか。その準備を練習から徹底させているのかが試合から見えてこない」

状況的に優勝はもはや絶望的。現実的には打線をどう立て直し、5・5ゲーム差のCS圏内まで浮上できるかが西武に残されたわずかな希望だ。松井監督はじめ首脳陣に、指導を躊躇している時間的余裕はもうない。

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