新しいオフェンスを学びながら“スーパールーキー”を自称するファルコンズTEピッツ

アトランタ・ファルコンズのカイル・ピッツ【AP Photo/John Bazemore】

2024年はアトランタ・ファルコンズにとって新時代の幕開けとなる。ファルコンズは新しいヘッドコーチ(HC)を迎え、1人ではなく2人のクオーターバック(QB)を加えている。

新しい取り組みは復帰した選手たちにも及んでいる。例えば、攻撃コーディネーター(OC)ザック・ロビンソンの下でファルコンズの新しいオフェンスを理解しようと努力しているタイトエンド(TE)カイル・ピッツだ。

ファルコンズの公式サイトによると、ピッツは現地14日(火)に次のように語ったという。「俺はいわばスーパールーキーだと思っている。通常のルーキーではない。でも、俺たちはみんなこの新しいオフェンス、新しい体制、新しいスケジュールの中で動いている。俺たちはみんな新鮮な状態だ」

“新鮮さ”がファルコンズにとって必要だったのは、過去3年間にクオーターバックの不安定さを経験し、マット・ライアン、マーカス・マリオタ、デズモンド・リッダー、タイラー・ハイニケといった選手を次々に起用しても、3年連続で7勝10敗の成績に甘んじていたからだ。ライアンの離脱後は状況がさらに悪化しており、特にピッツにとっては2021年にライアンとともに1,000ヤード以上を記録して以来、その数字に届くことはなかった。

ピッツの苦戦にはもう1つの理由がある。ここしばらくの間、ピッツは健康ではないのだ。膝を負傷して2022年シーズンを早々に離脱したピッツは、そのケガが2023年にも影響を及ぼし、昨シーズンはレシーブ53回で667ヤード、タッチダウン3回をマークするにとどまった。

ピッツはこう続けている。「試合中の調子が特に悪かったわけではない。むしろ、1週間の準備の方が大変で、週を通して痛みや筋肉のこわばりと向き合っていたんだ。日曜日が本番だから、何とか対処方法を見つけたよ」

同じやり方を続けることはできないと分かったファルコンズは、アーサー・スミス元HCを解雇してラヒーム・モリスを新しいヘッドコーチとして迎え入れた。また、ファルコンズはフリーエージェント(FA)で大きな決断を下し、QBカーク・カズンズと4年1億8,000万ドル(約280億2,150万円)の大型契約を締結。その後、ファルコンズはドラフトでさらに積極的な姿勢を見せ、全体8位でワシントン大学出身のQBマイケル・ペニックスJr.を指名し、クオーターバックの中途半端な状態から脱却することをNFL全体に明確に示した。

確かに、このような戦略——即戦力となる実績のある選手と契約し、同じオフシーズンでその選手の長期的な後継者をドラフトで獲得する——は議論の余地があるものの、ファルコンズにとってより大きな成功をもたらす可能性がある。ただし、ピッツにとっては、ペニックスがいずれカズンズの後を継ぐ中で、自身が長期にわたってチームにとどまる価値があることを証明しなければならないだろう。

ケガに苦しんだにもかかわらず、ピッツにとって幸運だったのは、ファルコンズがこのオフシーズンにピッツを信頼して5年目のオプションを行使したことだ。

ピッツは「チームの幹部がまだ俺を信頼してくれているのは本当に幸せなことだ。今年は今までと違うプレーを見せたい」とコメント。

ピッツはようやく完全な健康状態になり、キャリアで初めて、将来が不透明でないクオーターバックのためにルートを走る準備をすることになる。結果を出せるかどうかはピッツ次第だ。

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