【体操】宮田笙子 亡き恩師の思い胸に…パリ五輪切符獲得「私をここまで連れて来てくれて感謝」

競技終了後、杉原愛子(左)と抱き合って喜ぶ宮田笙子

体操女子のエース・宮田笙子(順大)は、亡き恩師への思いを胸に夢切符を勝ち取った。

パリ五輪代表最終選考会を兼ねるNHK杯3日目(18日、群馬・高崎アリーナ)の女子個人総合2回目では、左脚に痛みを抱えながらも、3年連続3回目の優勝を果たして初代表に決定。「3連覇できてうれしい気持ちもある。痛みもあって、思い切った演技が全日本選手権(4月)と比べてもできなかった点は悔いが残る。予選の反省を生かせたのは良かったけど、これからが大事になってくる」と気を引き締めた。

この日は元日本体操協会の副会長で昨年10月に81歳で亡くなった小竹英雄さんの顔写真を会場まで持参し、指導する鯖江高体操部の田野辺満監督らとともに、宮田の演技を見守ってもらったという。小竹さんが中学3年時に宮田を勧誘した際はメンタル面のムラが大きい選手だったが、小竹さんは宮田を根気強く指導。宮田にとっては体操人生を大きく変えてくれた存在だ。

小竹さんはかねて「鯖江から五輪選手を輩出したい」と口にしていた。それだけに、宮田は「今日は会場で見てくれたと思っていて、田野辺先生も床が終わった後に『そこで見てたよ』みたいな感じで言ってくれた。最後は3人で写真を撮った。本当に私をここまで連れて来てくれて感謝している」と涙ながらに振り返った。

そんな宮田は1964年東京五輪以来、60年ぶりの団体メダルを最大の目標に掲げる。「ミスなく思い切った演技ができる練習をしっかりして、団体のメダルにつなげたい」。悲願達成へ、大黒柱が体操界の歴史に新たな1ページを刻む。

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