【西武】若林楽人 下位打線で発揮する長打力…自力V消滅のチームが求める〝役割〟とのズレ

パンチある打撃が魅力の西武・若林楽人

西武は18日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に2―3と逆転負け。今季5度目の4連敗で借金は13となり、12球団最速で自力優勝の可能性が消滅した。

2―1での逃げ切りを図った8回に新セットアッパー・松本航投手(27)が誤算だった。近藤に手痛い逆転2ランを被弾し、連敗脱出はならず。リリーフに転向して3戦目、チームの連敗によって前回登板から中5日での登板というハンディもあったのかもしれない。チーム状況が悪いと、良かったものまで狂い始めてくるのが下位チームの定めでもある。

打線は1点を追う2回に7番・若林楽人外野手(26)の3号2ランで一時は逆転に成功する。ソフトバンク先発・大津の初球ストレートをミートし左中間スタンドへ。「打ったのは真っすぐです。初球からシャープに打つことができました!」。会心の一撃をこう語った若林の一発は、先制1号、そして9回のサヨナラ2号2ランで日本ハムに快勝した今月1日以来、出場9試合ぶりだった。

ルーキーイヤーの21年にわずか出場44試合で20盗塁をマークした輝きから、チャンスメーカーとしての期待が高い若林だが、制約の多い1、2番ではなかなか結果が出せず。「開幕から三振をしないように、打順によって役割を果たす。そういうことばかり気になって自分の形を見失っていた」。

1試合2発を放った1日の日本ハム戦ではこう言って「6番」の解放感を語っていた。元々、駒大時代はクリーンアップに座り、細い体に似合わぬ意外性のある長打力が西武スカウト陣の目に止まった経緯もある。

相手投手のファーストストライクを積極的に振って行くことを信条とする若林は「そこを(狙いに)いなくなったらダメでしょう。いい投手が多いので勝負球がどんどん来て、後追いしてしまうだけ。甘い球を仕留めること」と自らの打撃信条を語る。

意外性がある一方で、打率は1割4分と確実性アップが課題でもある。慢性的な貧打に苦しむ西武の1、2番の出塁率はもちろんリーグワースト。本来はそこに収まる活躍を見せてくれるのが理想形だが、本人の見ている方向と一致しないのが現状。西武の今の苦しさを物語っている。

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