中国閣僚が「電撃失脚」、かつては「習国家主席特使」を務めたこともある唐仁健農相

中国農業農村部の唐仁健部長(農相、写真)が重大な規律違反などの疑いにより取り調べられていることが明らかにされた。唐農相は習近平国家主席特使を務めたこともあり、3日前に参加した公的活動も伝えられていた。

中国共産党中央紀律委員会と中国政府国家監督委員会は18日、中国農業農村部の唐仁健部長(農相)が「重大な規律違反と違法行為の疑いにより、中国共産党中央紀律委員会と中国政府国家監督委員会の審査と監察調査を受けている」と発表した。3日前の15日の公的な重要活動が伝えられた直後の「電撃失脚」だった。唐部長は2023年7月26日に習近平国家主席特使としてミクロネシアを訪れてウェズリー・シミナ大統領の就任式に出席した経歴もある。

中国農業農村部の公式サイトは日本時間19日正午現在、唐部長が15日に陝西省咸陽市で招集した「全国郷村人材工作会議」の紹介文が掲載されている。本文冒頭やそれに続く文中では唐部長が紹介されており、写真も掲載されている。ただし文章末尾では「呉宏耀(農業農村部)副部長が会議の司会を務めた」と紹介されており、ページに最も目立つように掲載されている写真は呉副部長のもので、呉副部長の経歴だけが掲載されている。

習近平国家主席が22年10月の中国共産党第20回全国代表大会で、3期目の党総書記(事実上の国家トップ)に指名された。それ以降に失脚した閣僚級の政治家は23年7月に解任された李尚福国防部長と同年10月に解任された秦剛外交部長だった。唐部長は第3期習近平政権で、解任された3人目の閣僚ということになる。

唐仁健部長は1962年に重慶市で生まれた。1983年に四川財経学院(現、西南財経大学)を卒業し、中央政府農牧漁業部に就職した。その後、地方に異動して甘粛省省長なども務め、20年12月に北京に戻って農業農村部党組書記と同部部長を兼任することになった。

第3期習近平政権で失脚した閣僚級政治家3人には、習主席にいったんは厚く信任された共通点があるとの指摘もある。(翻訳・編集/如月隼人)

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