動物飼育でコミュニケーション力と自立性を 園近くの通信制高校が就労準備促す、宇都宮

宇都宮動物園で撮影に応じる、さくら国際高校宇都宮キャンパスの運営を担う合同会社Crewの伊川夢起代表(左)と原田浩司校長=2024年4月、宇都宮市

 宇都宮市の宇都宮動物園の近くに2024年4月、広域通信制のさくら国際高校(長野県上田市)の宇都宮キャンパスが開校した。動物の飼育を通じてコミュニケーション力や自立性を伸ばし、就労準備を促す狙い。不登校の生徒らの増加に伴い、通信制高校の在籍者数も増える傾向にある。キャンパスの原田浩司(はらだ・こうじ)校長は「多様な環境を用意した。自信を付けてほしい」と語る。

 キャンパス側の説明によると、動物飼育コースは、飼育員や獣医師らによる実習と講義を年27回ずつ受講。動物関係の法令やペットの習性などを学び、愛玩動物飼養管理士の資格取得も目指す。

 動物園の荒井賢治(あらい・けんじ)園長は、動物の世話は手を抜けないとして「他人を思いやる訓練になる」と語る。園内にある遊園地で接客するといった仕事も体験してもらう。

 上田市の本校と連携してキャンパスの運営を担うのは、宇都宮市の合同会社Crewの伊川夢起(いがわ・ゆめき)代表。学習障害(LD)がある子どもを学習面でサポートした経験から、通信制高校の生徒が卒業後の進路に困る姿を数多く見てきたという。

 2022年秋に栃木県内で新キャンパス設置を検討していた本校の方針を知り、動物園の協力を得て宇都宮キャンパスの開校に尽力。伊川代表は「さまざまな生き方や仕事があることを3年間でたくさん見てもらい、自分に合うものを探してほしい」と意気込む。

 宇都宮キャンパスは動物飼育コースの他、ビデオグラフィーや農業テクノロジーなどのコースを設置している。

宇都宮動物園で撮影に応じる、さくら国際高校宇都宮キャンパスの運営を担う合同会社Crewの伊川夢起代表(左)と原田浩司校長=2024年4月、宇都宮市

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