『ONE PIECE』ジョイボーイの正体がついに判明? なぜ空白の100年に「世界初の海賊」が誕生したのか

※本稿は『ONE PIECE』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

■“ジョイボーイ”の核心的な情報が

『ONE PIECE』で現在描かれている「エッグヘッド編」では、これまで隠されていた世界の秘密が次々明らかとなっている。そんな中、5月13日発売の『週刊少年ジャンプ』24号(集英社)に掲載された第1114話「イカロスの翼」では、“ジョイボーイ”についての核心的な情報が飛び出していた。

そこで今回は新たに判明した事実と照らし合わせつつ、あらためてジョイボーイの重要性について考えてみたい。

まず「エッグヘッド編」は、世界の秘密を知りすぎた天才科学者のDr.ベガパンクが、世界政府と五老星から命を狙われることになる……というストーリー。そこで致命傷を負ったベガパンクは、あらかじめ撮影しておいた映像を全世界に向けて配信するのだが、その内容は衝撃的なものだった。

ベガパンクは「歴史の本文」(ポーネグリフ)の解読によって、900年前から800年前に存在した“空白の100年”についての知識を得たそうだが、その歴史=物語の主人公こそがジョイボーイだという。ジョイボーイは900年前、高度な文明をもつ王国に誕生し、“太陽の神”ニカのように「伸縮する体」で戦った人物であり、作中の世界で初めて「海賊」と呼ばれた男でもあったらしい。

ジョイボーイといえば魚人島編に始まり、さまざまな箇所でその存在が語られている人物で、なにかとルフィと重ね合わされることも多い。一方でニカは太古の昔に奴隷たちを救った伝説の戦士として語り継がれている存在で、ルフィの悪魔の実のモデルでもある。両者には共通点が多く、同一人物ではないかという説もあったが、今回のベガパンクの口ぶりからすると、あくまで別物の存在だったのだろう。ジョイボーイは“ニカのように戦った”と表現されているからだ。

むしろジョイボーイについては、ルフィの前任者にあたる人物として解釈すべきだと思われる。おそらくジョイボーイが伸縮する体を持っていたのは、ルフィと同じ「ヒトヒトの実」モデル“ニカ”の能力者だったからだ。

時は少し遡り、ワノ国編でのこと。ルフィがギア5の覚醒状態に入り、心臓から“解放のドラム”を鳴らした際、象主(ズニーシャ)はその音を「800年振りに聞く」と言い、ジョイボーイが帰ってきたことを確信していた。

他方で五老星は、「ヒトヒトの実」モデル“ニカ”が過去数百年のあいだ覚醒していないとも語っていた。すなわちルフィの前に覚醒状態に到達し、象主(ズニーシャ)に解放のドラムを聞かせた能力者こそが、ジョイボーイなのだろう。

■空白の100年に“海賊の誕生”が起きた理由

今回明かされた情報でさらに重要なのは、ジョイボーイが“最初の海賊”とされていたことだろう。『ONE PIECE』の世界では、海に生きる海賊たちと世界政府との対立が基本的な構図となっているが、これ自体が空白の100年に生まれたものだったということになるからだ。

またベガパンクは世界に向けたメッセージのなかで、“世界が海に沈む”という衝撃的な予言を口にしていた。その詳細はまだ明かされていないものの、これまでも作中ではさまざまな地域で海面の上昇という現象が起きていることが描かれていた。大きなスパンで考えると、作中の世界はかつてもっと多くの陸地があり、空白の100年の頃に劇的に海が増えたからこそ、海賊の誕生に至ったのかもしれない。

さらに気になるのは、『ONE PIECE』で海賊という存在が描かれる際、つねに「自由」が大きなテーマとなっていることだ。たとえばルフィは、第507話において「この海で一番自由な奴が海賊王だ!」という有名なセリフを残している。また“海賊王”ゴール・D・ロジャーは、人が自由の答えを求めるかぎり、「受け継がれる意志」「人の夢」「時代のうねり」は止まらないと語っていた。こうした描写からすると、最初の海賊であるジョイボーイも、自由の体現者だったものと思われる。

ここで重要なカギを握るのが、ジョイボーイが高度な文明をもつ王国の出身者であることだ。空白の100年には、後の世界政府となる20の国と、とある巨大な王国との戦いが起きたとされている。ジョイボーイはこの巨大な王国の側につき、20の国の支配から自由になるための戦いを挑んだのではないだろうか。

現在の世界政府や五老星が「ヒトヒトの実」モデル“ニカ”を警戒している理由も、ジョイボーイの過去と密接に関係しているはず。空白の100年に一体何が起きたのか……。ベガパンクが明かす世界の真実に注目するほかない。

(文=キットゥン希美)

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