不二宮製作所(荒尾市) 知育玩具を夏にも商品化 国際特許取得、「オンリーワン」技術生かす【地元発・推しカンパニー】 

アルミ材などを使った幾何学的構造物の試作品。テントにも応用できるという=荒尾市

 1952年、三井三池炭鉱の設備や機械製造の下請け企業として大牟田市で創業。約50年前、荒尾市に移った。現在も大型の産業機械や精密機器の委託製造が主な業務だ。

 併せて15年ほど前から、独自の商品開発にも取り組んでいる。旗を振る松岡徳康社長の「世界初の〝オンリーワン〟技術によって、下請けからメーカーへ」との呼びかけに社員らが応じた。

 事務所を訪ねると、アルミやプラスチック、木材でできた不思議な構造物がずらりと並んでいた。直線や、くの字型のパーツがつながり、自由に伸びたり縮んだり。国際特許を取得した「伸縮自在の幾何学的構造物」と「形状可変の幾何学的構造物」の技術を使った試作品の数々だ。 
 
 開発部の森本幸春さんは「小さく畳めて簡単に広げられる利点があり、ペットやベビー用のサークル、オフィスの間仕切りなど幅広く使えます」と説明する。

 交差した棒を連ねた伸縮式門扉のような構造を2次元、3次元的に発展させた幾何学的構造物は、「ベッドで寝ながら本が読める読書台」を開発する過程で生まれた。タブレット端末の普及もあり読書台の商品化は断念したものの、支持部に使った技術が生きた。

 一部が伸びると別の部分が縮むタイプや、球状の〝変わり種〟も次々に生み出し、日用品のほか災害時のプライバシー確保などにも活用できると判断。建築やインテリアなど多様な分野の見本市に試作品を出してきた。

プラスチックのパーツを組み合わせたがん具の試作品を手にする開発部の森本幸春さん=荒尾市

 中でも手応えを感じたのがおもちゃの見本市。色とりどりのプラスチック製パーツをつないだ知育玩具を展示すると、子どもたちがブースから離れなくなったという。玩具は商品化を進めており、この夏にも初の量産品を発売する予定だ。

 森本さんは試作品を手に「開発した12種類のパーツを組み合わせて、3次元で伸び縮みする」と説明。松岡社長は「おもちゃとしてだけでなく、オブジェとしての魅力も秘めている。幅広い世代に楽しんでもらいたい」と話した。(大倉尚隆)

メモ 1952年、宮本鉄工建設工業所として創立。74年、現社名に変更した。従業員は約20人。24年7月期は3億円の売り上げを見込む。

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