朝食の定番食材が「老化」を進めるかも⁉老けない人が食べないもの・食べているもの

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老化が進む人と、いつまでも若々しい人。その違いのひとつに「食べ物」があるようです。

老化と食べ物の関係について、あさひの森内科消化器クリニックで栄養指導・ダイエット外来を担当する管理栄養士で、食と健康と美の専門家である若山 あみさんに聞きました。

Q.「老化」はなぜ起こるのでしょうか

老化の主な原因は体の「錆び」と「焦げ」です。

体の「錆び」とは「酸化」のことです。酸化は、体内の活性酸素が原因で起こります。呼吸によって体内に取り入れた酸素の一部が「活性酸素」に変化します。活性酸素が増えると、体がダメージを受けて老化が起こります。活性酸素を発生させる原因は、呼吸だけでなく、紫外線・大気汚染・強いストレス・睡眠不足・喫煙などもあります。

体の「焦げ」とは「糖化」のことです。糖化とは、血液中で使われなかった糖分と体内のたんぱく質が結びつき、「AGE(最終糖化産物)」が産生されることです。このAGEの蓄積によって老化が起こります。

その他、加齢に伴う代謝の低下やホルモン分泌の低下も老化の原因です。

Q.老化を加速させる、老けにつながる食べ物にはどのようなものがありますか

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「老けにつながる食べ物」は、糖化の原因となる食べ物とAGEを多く含む食べ物です。

糖化の原因となる代表的な食べ物は、果物や清涼飲料水などに含まれる「果糖(※1)」です。果糖はブドウ糖(※2)に比べ、多くのAGEを産生します。特にガムシロップ・清涼飲料水・炭酸飲料・スポーツドリンク・缶コーヒー・焼肉のたれ・ドレッシングには果糖の含有率が高い「果糖ブドウ糖液糖(※3)」と呼ばれる甘味料が大量に含まれているものが多く、糖化リスクは高まります。

果物にも果糖は含まれますが、ビタミン、ミネラル、食物繊維も含まれるため、1日に手のひら1個分程度であれば、毎日食べても問題ありません。

AGEを多く含む食べ物には、ソーセージやベーコンなどの「加工肉」、とんかつや唐揚げなどの「揚げ物」があります。糖質やたんぱく質を高温調理することでAGEが増えてしまいます。カリカリのベーコンと目玉焼きは人気の朝食ですが、「加工肉をこんがり焼く」ことはAGEの過剰生産につながります。

Q.若々しい体でいるためにとるとよい食べ物はありますか

若々しい体でいるためには、糖化と酸化にアプローチする抗酸化作用のある食べ物がおすすめです。

抗酸化作用のある栄養素は、ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノール類・ミネラル類です。各栄養素が豊富な、代表的な食べ物は以下の通りです。

・ブロッコリー:抗酸化作用のあるビタミンCに加え、スルフォラファンというAGEの産生を低下させる働きを持った成分を含みます。

・サーモン:体の錆びを除いてくれる抗酸化成分のアスタキサンチンが凝縮しています。

・ブルーベリー:アントシアニンやビタミンAを豊富に含み、肌代謝を促進してくすみ対策にぴったりです。

・ナッツ類:アーモンドや落花生などのナッツ類はビタミンEを豊富に含みます。

Q.老化防止に市販のサプリメントは効果がありますか

老化防止に、ときとしてサプリメントは効果があると思います。

ただし、食生活を改善する・運動をする・禁煙をするといった、生活習慣の改善が基本になるでしょう。あくまでも、たりないものを補うという意味でサプリメントを取り入れることをおすすめします。

サプリメントを摂取する際の注意点は、過剰にとると副作用の恐れがあるとことです。とくに脂溶性と呼ばれる、水に溶けにくい成分のサプリメントは注意が必要です。水に溶ける水溶性であれば、過剰に摂取しても多くは尿に排出されますが、脂溶性は尿から排出されにくく、体内に蓄積しやすい性質があります。

サプリメントを飲む場合は、日頃の食生活も考慮し、適切な量を摂取することが大切です。

Q.若々しい体でいるための、食事のとり方のコツにはどのようなものがありますか

若々しい体でいるためには、糖化を予防することが重要です。食べ方や調理法の小さな工夫で、糖化を防ぎAGEを作らせない方法があります。

たとえば、血糖値を急上昇させないこと。血糖値というと糖質(※4)との関係が思い浮かぶかたも多いかもしれません。しかし、糖質の摂取を抑えるのを考えるよりも、まずは早食いをしないことが大切です。

早食いをすると、糖が腸から急速に吸収されて血糖値が急上昇し、その後に急降下します。これは食後の「血糖値スパイク」と呼ばれ、動脈硬化の原因にもなります。できれば食事には30分くらい時間をかけて、よく噛んで食べましょう。

AGEを作らせない効果的な調理法は、お水を使ってゆでるか蒸す方法です。AGEの観点から見ると、いちばんの理想は生食ですが、短時間での低温調理もAGEが発生しにくい調理法といわれています。

どうしても揚げ物が食べたい場合は、千切りキャベツなどの食物繊維を一緒にとったり、抗酸化作用のあるレモンをかけて食べたりするのがよいです。またソーセージであれば、焼かずにゆでることでAGEの産生を多少抑えられると言われています。

なお、食事で若々しさを保つ秘訣をいくつかお伝えしましたが、大前提として、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン・ミネラルを「バランスよく食べること」が老化のスピードを抑える食生活の基本です。

糖質を気にしすぎて、炭水化物をまったく摂らない、というのは逆効果。炭水化物は生きてく上で必要な栄養素の一つであり、極端な食事制限は、健康に害を及ぼす可能性があるので、注意してください。

※1.果糖:果物やはちみつなどに含まれ、甘みが強い単糖類。過剰に摂取すると、中性脂肪の増大や肥満を引き起こすことがある。

※2.ブドウ糖:穀類や果物、はちみつなどに多く含まれる単糖類。脳の唯一のエネルギー源であり、身体のエネルギー源としても重要な役割を果たす。

※3.果糖ブドウ糖液糖:穀物などを原料とする甘味料。果糖とブドウ糖を主成分とする液状糖「糖異性化糖」の中で、果糖含有率が50%以上90%未満のものを指す。果糖が多く含まれていて、さまざまな食品に配合されている。ブドウ糖に比べて酸化リスクが高い。

※4.炭水化物から食物繊維を除いた栄養素の総称。

教えてくれたのは・・・

若山 あみさん

愛知県尾張旭市「あさひの森内科消化器クリニック」にて管理栄養士として勤務。クリニックでは保険診療で栄養指導を行う傍ら、ダイエット外来も担当。クリニックには美容皮膚科美容内科もあり、日々、食と健康と美について探求している。

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取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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