「セルティックスは優勝できなければ失敗」の意見に賛同するグリーン「ファイナル進出でも物足りない」<DUNKSHOOT>

今季リーグベストの64勝18敗(勝率78.0%)でレギュラーシーズンを終えたボストン・セルティックスは、プレーオフに入ってもファーストラウンドでマイアミ・ヒート、カンファレンス・セミファイナルではクリーブランド・キャバリアーズをそれぞれ4勝1敗で下し、早々にカンファレンス・ファイナルへ辿り着いた。

第3の得点源クリスタプス・ポルジンギスが右ふくらはぎの肉離れのため、ヒートとのシリーズ第5戦から離脱しているものの、カンファレンス・ファイナル期間中に戦列復帰できる見込み。彼の穴を、現在はアル・ホーフォードという頼れるベテランが先発入りしてカバーしている。

3年連続、ここ8年間で6度目のカンファレンス・ファイナルへと駒を進めたセルティックスが見据えるのは、もちろん球団史上18度目のリーグ制覇。1回戦ではジミー・バトラーとテリー・ロジアーが、2回戦でもジャレット・アレンが全休し、ドノバン・ミッチェルも最後の2試合を欠場と、相手チームが主力をケガで欠いたこともあり、ここまでは順調な勝ち上がりを見せている。
そうしたなか、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは、現地時間5月18日(日本時間19日、日付は以下同)に公開された自身のポッドキャスト番組『The Draymond Green Show』で、今季のセルティックスに“高いハードル”を設けていた。

「ティム・レグラー(米スポーツ専門局『ESPN』のアナリスト)は、今季セルティックスがチャンピオンシップを勝ち獲れなければ失敗だと言っている。本来なら、俺がその意見に賛同することはない。物議を醸すような見方だからな。

だが今回に関してはティム・レグラーが間違いなく正しい。だってあのチームはジェイレン・ブラウンが3億ドル(約465億円)以上の契約を結んでいて、もうすぐジェイソン・テイタムも結ぶことになる。それは失敗ってやつさ」

セルティックスは、昨夏ブラウンと5年2億8800万ドル(約446億4000万円)のスーパーMAX契約を締結。今年4月にはドリュー・ホリデーとも4年1億3500万ドル(約209億2500万円)の延長契約を結んでおり、今夏にはテイタムと5年で最大3億1500万ドル(約488億2500万円)という、NBA史上最高額のスーパーMAX契約を締結する見込みだ。
テイタム、ブラウンにポルジンギス、ホリデー、デリック・ホワイト、ホーフォードの主要6選手が来季も契約下にいるとはいえ、ホワイトとの延長契約も視野に入れていることから、今後セルティックスの年俸総額は跳ね上がる一方だろう。

すでにリーグ屈指の戦力を有するセルティックスは、2022年にイーストを勝ち上がるも、ファイナルでグリーンが所属するウォリアーズに2勝4敗で敗退。昨年はヒートとのカンファレンス・ファイナル第7戦を落としてファイナル返り咲きを逃していただけに、彼らが今季にかける思いは人一倍強いことは間違いない。

もっとも、NBAは新陳代謝が非常に激しい世界で、長期間コアメンバーを組んでプレーしたとしても、チャンピオンシップを勝ち獲れる保証はどこにもない。そのため、セルティックスは今季こそ優勝すべきだとグリーンは言う。
「60試合以上に勝つほどのチームを作り上げた。ホリデー、ポルジンギスを獲得したことで、ここまではあのチームが望む場所へ向かっている。ホリデーとも延長契約したんだから、今こそ勝つ時だ。もはやカンファレンス・ファイナルにどれほど多く進んだかなど関係ない。ファイナル進出でも物足りない。最後まで勝たなきゃならない」

カンファレンス・ファイナルの相手は、19日にニューヨーク・ニックスを下した第6シードのインディアナ・ペイサーズ。セルティックスにはコンディションを整えて、万全の状態で次のシリーズを迎えてほしい限りだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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