5年で381人も…山菜採りでなぜ遭難してしまう?「奥に行けば行くほど…わかりづらくなる」記者が“体験”してみてわかった必要な対策 北海道

本格的な山菜シーズンを迎えるなか、後を絶たないのが遭難事故です。なぜ山菜採りで遭難してしまうのか。記者が疑似体験しました。

警察官
「クマがでたときのために対策しようね」

札幌市近郊の「中山峠」です。18日、警察官らが、山に入るときの注意点が書かれたチラシを配り、山菜採りでの遭難防止を呼びかけました。

北海道警によりますと、北海道内の山菜採りによる遭難者数は、2023年までの5年間で381人にのぼり、このうち、およそ7割が5月と6月に発生しています。その原因の多くが「道迷い」です。

札幌南警察署 土生賢二地域官
「例年、約8割が道迷いにより遭難しています。令和5年の道に迷ったという遭難者は21人」

ということで、警察官立ち会いのもと、記者が遭難を疑似体験しました。

馬場佑里香記者
「山菜採りに行くと、どうして遭難してしまいやすいのか、実際に竹やぶの中に入って体験してみたいと思います」

林道から15メートルほど笹やぶの中を進むと…。

警察官
「後ろの人見えづらかったりしますよね」

馬場佑里香記者
「本当にそうですね。少ししか離れてないのに」

笹やぶで視界を遮られ、1メートル先にいる人の姿も見えづらくなりました。どこも似たような景色のため、山菜採りに夢中になると、自分の居場所がわからなくなってしまいます。

馬場佑里香記者
「中は奥に行けば行くほど、どんどん竹やぶの高さも高くなっていて、あとは、だんだん車の音も遠のいて行くので、どこから登ったのかがわかりづらくなるなと思いました」

また、遭難を防ぐために重要なのが「服の色」です。

目立つ色の服を着ることで、捜索にあたるヘリコプターなどが発見しやすくなります。

実際に山の中に入ってみると、青い服を着た男性は周囲に同化して見えづらく、赤い服を着た男性は目視することができました。

北海道警本部 地域部地域企画課 土橋将人警部
「(目立つ色は)ヘリからも見つけやすいと言われている。色をちょっと調整して入るのも大事」

山菜採りによる遭難が多発するこの時期、山に入るときには、十分な対策が必要です。

20日も、山菜採りによる遭難が起きています。

警察によりますと、北海道北広島市三島で、タケノコ採りをしていた70代とみられる女性の行方がわからなくなっています。

女性は、携帯電話を車に置いたまま、友人と3人で山に入り、待ち合わせの時間になっても戻ってきておらず、警察などが捜索を続けています。

北海道警では、相次ぐ山菜採りでの遭難を防ぐために次のことを呼びかけています。

「携帯電話を常に持ち歩く」、「目立つ色の服装」、「行き先と帰宅時間を家族に伝える」、「単独行動をしない」、「クマ対策グッズを携帯」と全部で5つの注意点を挙げています。

山菜採りでの遭難は、毎年5月と6月に集中しています。十分な対策を心がけてください。

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