つばさの党選挙妨害事件「スピード逮捕」でも被害者の不安消えず 公選法改正への足並み揃わず

つばさの党の根本良輔幹事長(左)と黒川敦彦代表

つばさの党の黒川敦彦代表、根本良輔幹事長、杉田勇人組織運動本部長の3容疑者が公選法違反(自由妨害)の疑いで逮捕されたが、〝被害者〟たちは今もなお不安の中にいる。

黒川容疑者らは4月に行われた衆院東京15区補選において、他陣営の演説に突撃したり、街宣車を追いかけたりするなどしていたことが問題視され、複数の陣営から被害届が提出されていた。黒川容疑者は逮捕前に「表現の自由の中で適法でやっている。小池百合子の圧力による捜査だと思っている」と主張していた。

スピード逮捕となったわけだが、同補選で被害に遭った陣営関係者らはひと安心していない。今後も似たようなことが起きる可能性は残されたままだからだ。ある陣営関係者は「逮捕は一区切りではあるが、ゴールではない。ゴールは二度とああいうことができないようにすること。公選法の改正が必要です」と指摘した。

各党はつばさの党に対して厳しい見方を示すものの、公選法改正については一枚岩ではない。日本維新の会は公選法改正に言及しているが、共産党の小池晃書記局長は改正は「言論の自由を脅かしかねない危険性がある」と指摘。今回できたように現行法の運用で対応すればいいという意見も多い。

前出の陣営関係者は「現行法の解釈で対応できるというが、それは現場にリスクやコストを押し付けているだけ。捜査機関が適切に運用できるようにケツを持つのが政治家の役目。政治家は法律を作れるのだから、現場が使いやすいものを作るべきだ」と、現場に丸投げをする国会議員たちへの不満を訴えた。

今後も同じようなことが起きた時にその都度、捜査機関が現行法の解釈をしていくのでは恣意的な運用にもつながりかねないし、スピード感もない。次の大きな選挙は東京都知事選だが状況は変わるのか。

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