熊本市立中の共通標準服、デザイン決定 2025年度導入 男女区別ない3スタイル、多様性に配慮

熊本市教育委員会が2025年度から市立の全42校で導入する共通標準服。左はスラックス、右はスカート(市教委提供)
共通標準服の夏服のポロシャツ(市教委提供)

 熊本市教育委員会が2025年度に市内の全42中学校で導入する、共通標準服(制服)のデザインが決定した。「水の都・熊本市」をイメージし、青や水色を基調にデザイン。多様性や機能性の観点から、生徒の選択肢を広げる。各校の既存の制服はそのまま残し、生徒はどちらも着用できる。

 共通標準服はスラックス、スカート、キュロットスカートの3スタイルでいずれもグレーのチェック柄。スカート、キュロットスカートは青や水色、白のチェックラインが入る。冬服は紺のブレザー、夏服はポロシャツで白と紺の2種類がある。いずれも男女の区別はなく自由に選べる。動きやすさや手入れのしやすさも特徴という。

 市教委は3月、三つのデザイン案を示して市内の小学4~6年と中学1、2年、保護者、中学校の教職員にアンケートを実施。1万9713票の投票のうち、最多の8753票を獲得した案を採用した。リボンやネクタイの色は数種類の中から各校が決める。

 熊本市中学校長会が21年度、市教委に共通標準服の導入を提案した。各校で「女子もスラックスがはきたい」「動きやすいポロシャツにしてほしい」といった意見が寄せられたという。市教委が昨年4月に小中学生や保護者らに実施したアンケートでも、現在の制服と共通標準服を選べることについて、「選べた方がよい」「どちらかと言えば選べた方がよい」が計68%を占めた。

 市教委教育政策課は「共通標準服であれば市内で転校しても買い替える必要がなくなり、リユースの促進にもつながる。制服メーカーの競争も促され、価格も従来の制服より抑えられる可能性がある」と期待している。

 市内の全42校の制服の内訳は、男子はブレザー8校、詰め襟(学ラン)35校。女子はブレザー13校、セーラー服30校で一部併用している学校がある。

 共通標準服について、市内の中学1年の男子は「制服が学ランなのでブレザーを着てみたい」。別の中学校の2年の女子生徒は「スカートが苦手な女子もいるので選択肢があるのはいいと思う。キュロットやスラックスは動きやすそう」と興味津々だった。

 市教委によると、共通標準服の導入は福岡市や北九州市、神戸市など全国で広がっている。県内でも八代市立の全中学校で24年度から選択可能になり、宇土市は25年度から市立の全中学校で導入する予定。(後藤幸樹)

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