高虎家臣団の史料ひもとく 藤谷彰氏、津で講演会 三重

【講演する藤谷氏=津市大門の津センターパレスで】

 【津】津藩祖藤堂高虎を顕彰する「ときめき高虎会」(赤塚友男代表、会員45人)は19日、三重県津市大門の津センターパレスで歴史講演会を開いた。元県史編さん事務局職員で津藩に関する著書がある藤谷彰氏(63)=四日市市八王寺町=が「津藩家臣団の形成と構造~高虎時代を中心に」と題して史料をひもといた。

 藤谷氏は、高虎が主君を変える「世渡り上手」だとする評価に疑問を呈し「当時を考えれば生き延びるため当たり前のこと」と述べた。

 家臣団にはさまざまな階層が混ざっていたとして「寛永7(1630)年には津や伊賀だけでなく江戸、大阪、京も含め2300人の家臣がいた」と紹介。

 家臣団の給与形態には年貢が石高の4割になるよう逆算して設定する「平高(ならしだか)」を取り入れ、余った分は藩のものにしたとして「よその藩で平高をやったのは30年後ぐらい。高虎は先見性があった」と評価した。

 同講演会は会員や一般を対象に開催し本年度は藤谷氏が4回連続で講師を務める。この日は県内外の会員ら37人が聴講。会員の井上明美さん(54)=大阪府守口市=は「高虎は好きだが家臣のことは全然知らなかった。平高の説明も分かりやすく、次回以降も楽しみ」と感想を話した。

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