【初夏の快適インテリア】園芸研究家・吉谷桂子さんの暑さを避けながら植物とともに暮らすお宅を拝見!

長年、ガーデンデザイナーとして植物と共生してきた吉谷桂子さんですが、昨今の猛暑にはお手上げ、と話します。そんな吉谷さんの、白いレースカーテンやオーニングで暑さをよけながら、自然ととともに暮らすご自宅を見せていただきました。

↓↓吉谷桂子さんの寄せ植えはこちら

お話を伺ったのは
園芸研究家、ガーデンデザイナー
吉谷桂子さん

よしや・けいこ●1956年、東京都生まれ。
プロダクトデザイナー、広告美術ディレクターを経て渡英。ガーデニングを学び、帰国後は約7年間の英国暮らしの経験を生かしたガーデンライフの楽しみ方を提案。
テレビや雑誌などで活躍する他、はままつフラワーパークなど各地の庭園やフラワーショーを手がける。
『花の楽しみ 育て方飾り方』(主婦の友社)など著書多数。

イギリスで学んだ素敵な家づくりを真似て

自分でデザインしたカーテンは ウィリアム・モリスへのオマージュ

高い天井に大きな窓。その先には緑あふれるガーデンテラスが広がる。吉谷桂子さんの自宅のリビングは、家の中にいながら光と風を感じられる開放的で心地いい空間。

「30年以上前、渡英したときに住んでいた家の高い天井を参考に、この家をつくりました。暑い空気は上に行くので、天井は高いほうが夏を涼しく過ごせます。他にもイギリス人の素敵な家づくりのコツを学んだので、それを自分たちの暮らしに取り入れています」

インテリアの一つ一つにも英国流のこだわりが詰まっている。

「たとえばカーテン。イギリス人は部屋に合うかどうか、非常に時間をかけて選びます。私もそれにならい、ずっとこれを見て暮らしたいか、新築から1年以上悩みました。でも、それが今も心地いい暮らしにつながっていると思います」

初夏に向けて新たにリビングのインテリアに加えたのが、白いレースのカーテン。日差しを和らげ、窓辺を涼しげに演出してくれる。

「家の中と外を完全に分けるのではなく、半分見え隠れさせながら光を感じるようにしたい。それにはレースのカーテンがいいなと思って。自分で『花の森の木漏れ日レース』のカーテンをデザインしました」

リビングの窓には自らデザインした「花の森の木漏れ日レース」のカーテンを。「19世紀イギリスのデザイナー、ウィリアム・モリスの哲学に共感を覚え、彼へのオマージュとしてビオラとデイジーの柄を」。このカーテンはディノスで販売中(☎0120-337-337)。

リビングやガーデンは南向きで明るい分、午後には強い西日が当たる。そこで夏に欠かせないのがオーニング(日除け)だ。

「19年前に家を建てる際、南側のファサードにオーニングを取りつけられるように設計してもらいました。多くの植物にとっても夏の太陽は厳しすぎるので、これをつけて日差しを遮るようにしています」

「日陰が欲しい夏はオーニングが活躍」。南向きの壁や庭の植物も守れる。

長年、ガーデンデザイナーとして植物と共生してきた吉谷さんでさえ、昨夏の猛暑にはお手上げ。だからこそ、持続可能な庭を模索する。

「日差しや乾燥に強い植物を選ぶなど、『ライトプレイス、ライトプラント=適地適草』で楽しむことも大切。暑くても元気に育つ植物があると、エネルギーをもらえますから」

多肉植物のハイロテレフィウム。「バラのような見た目がかわいいし、暑さにも強いです」

光の美しさを楽しめるのが夏

日差しを避けながらも光を感じるインテリアに

「イギリスに暮らしていたとき、『クオリティ・オブ・ライト』という言葉を知りました。『今日は光がすごくきれいだね』『朝方の光がいいね』など、光の調子を楽しむことはとても大事。だから私も、夏は日差しや暑さを避けながら、光を感じていたいと思っています」

そこで取り入れたのがキッチンのレースカーテン。柄はウィリアム・モリスの「いちご泥棒」だ。

「『優れたガーデナーは、野鳥に想いを馳せるべし』というモリスの名言があります。その哲学を表現したかったので、この柄を選びました。レースのカーテンは外気温の遮断に役立つだけでなく、白いレースで室内を明るくすることができ、空間の色調が爽やかになります。また、通常の横開きカーテンではなく、上下に開け閉めをするシェードにしたので、少し開けると外の光や植物を感じられるのも気に入っています」

窓の外に並べたウインドーコンテナが外からの目隠しをしつつ、隙間からやさしい光を運んでくれる。

「念願だったモリスのレースカーテンをキッチンに」。光を受けて浮かび上がるツグミのシルエットが美しい。
小窓にステンドグラスを立てかけて。「光を通すので、絵を飾るのとは違う楽しさがあります」
テラスの木には巣箱を設置。「ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラなどがよく来ます。カーテンに描かれた鳥とテラスに来た鳥がダブルで見られる瞬間があって、嬉しくなります」
水を入れたガラスボトルが涼しげ。「朝方、太陽が当たるとキラキラしてすごくきれいなんです」

涼しい北の書斎を活用

リビングにも仕事机はあるが、南向きなので夏は暑い。

「私は暑さには弱いけれど、エアコンが苦手。だから夏は、涼しい北の書斎に避難します。太陽の光があまり入らないので、明るさを補うために壁紙は白ベースにゴールドのミツバチ柄の壁紙で、明るく温かい雰囲気にしました」

家の中でも外でもグリーンのある生活を

ワントーンでまとめ、涼しさを演出

リビングからつながるダイニングキッチンは、グリーンを基調としたインテリアが印象的。

「私はインテリアデザインに関して『インサイドアウト、アウトサイドイン』という考え方をしています。これは、外のグリーンと家の中のグリーンをつなげると広がりが感じられるというイギリス式の考え。だからキッチンの壁紙にもグリーンを使っているんです。インテリアにグリーンを多く使うことで外の世界観を家の中に取り込み、テーブルと椅子をテラスに置くことで家の中の世界観を外に反映させています」

キッチンの壁紙や照明、コンロ上部の飾りはグリーンでまとめ、統一感をアップ。
ダイニングチェアは「モリスがデザインしたファブリックでカバーを手作りして、使っています」。
テラスにテーブルとチェアを置いて。「背後の木はアカバナトキワマンサク。春にはピンクの花が咲き、初夏は葉が赤くなります」

グリーンに限らず、インテリアでは色がもたらす効果が大きい、と吉谷さん。

「色だけで部屋の雰囲気が大きく変わるし、涼感も演出できます。涼しげに見せたい、居心地のよい部屋にしたいなら、ある程度、色を絞るのがポイントだと思います」

その信条はインテリアだけでなくファッションにも。

「洋服のコーディネートをどうしようかと迷ったら、私はワントーンでまとめます。気持ちが落ち着くし、夏は涼しげに見えますから」

真夏にも涼しげな窓辺のアレンジ。「グリーンの花器に、夏に強いルドベキアを飾って」
洋ランは互い違いに伸びだす葉がかわいらしく、花がなくても楽しめる。

※この記事は「ゆうゆう」2024年6月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/柴田和宣(主婦の友社) 取材・文/本木頼子

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