”超倹約家”の80歳父が「1億円」貯金を達成!でも、使いきれるのでしょうか…?

1億円を100歳までに使い切るには毎年いくら使えばいい?

80~100歳の20年間で考えたとすると、1億円を使い切るには毎年500万円を消費する必要があります。毎月だと約41万6667円、1ヶ月を30日と考えると、毎日1万3889円を使っている計算です。

総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕」によると、65歳以上かつ無職で単身世帯の方の平均支出は、日常生活費を始めとする消費支出と税金などの非消費支出を合計して1ヶ月で15万7673円でした。

20年で使い切る金額と比較すると、毎月25万8994円を平均支出より余分に使わないと、少なくとも100歳までには使い切れません。

また、同調査によると、65歳以上かつ夫婦のみの無職世帯は毎月の平均支出が28万2497円です。つまり、もし1億円を夫婦で使おうとしても、平均的な支出だけでは100歳までに使い切れない計算になります。

実際には貯金のほかに年金収入もあるため、今回の計算以上の金額を使う必要があります。もし父親が1億円を使い切らないままに亡くなってしまうと、残ったお金は相続財産の対象です。

お金が残ると相続税の対象に

相続税は、亡くなった方から財産を受け継いだときに発生します。1億円を貯金した父親からお金を相続した場合も相続税の対象です。

相続税は、基礎控除額が「3000万円+(600万円×相続する方の人数)」と定められています。今回は、以下の条件でお金を相続した場合の税金額を計算しましょう。

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・相続するのは子ども一人のみ
・相続した財産は1億円で使い切れなかった金額のみ
・相続財産からの葬式費用といった支出は考慮しない
・父親が1億円から毎月使用した金額は総務省統計局の家計調査報告〔家計収支編〕の65歳以上単身世帯の平均額
・父親は単身世帯で80歳で貯金をやめ、100歳に亡くなった
・父親が使用したお金は1億円からのみで、今回の計算に年金などの収入は考慮しない
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今回の条件だと、父親は20年間にわたって毎月15万7673円を支出したため、使用した金額は合計で3784万1520円です。1億円から3784万1520円を引くと、相続財産として6215万8480円が残されたことになります。

相続人が1人だと基礎控除額は3600万円のため、相続税の課税対象は2615万8480円です。

国税庁によると、課税対象が1000万超~3000万円以下の場合の税率は15%、控除額は50万円のため、今回のケースでは相続税として342万3772円を納付する必要があります。

今回の例のように、数百万円が税金として引かれるケースもあるため、なるべく父親の存命中に使い切ることを考えたほうがいいでしょう。

1億円を80歳から20年で使い切るとしても毎年500万円の支出が必要

1億円を短期間で使い切るには、毎月多額のお金を使用する必要があります。仮に80~100歳の20年間だとしたら、最低でも毎年500万円、毎月41万6667円を使わないと使い切れません。

もし貯金が余った状態で父親が亡くなると、余った貯金は相続財産として相続税の対象になります。場合によっては300万円以上を納税しなければならない可能性もあります。

少しでも貯金を有効活用したい場合は、存命中になるべく使い切るように伝えましょう。

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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