【目黒記念】日経賞1、2着馬に好材料が集まる コース替わり歓迎のシュトルーヴェとクロミナンス

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は5月26日(日)に東京競馬場で行われる目黒記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった14頭を検討対象とし過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走同距離の馬が好成績

目黒記念はダービー同日の最終12Rで行われる重賞。JRAにおいて同日に同じ競馬場で重賞が複数行われるのは、基本的にはダービーデーの東京競馬場だけだ。

ダービーが芝2400mであるのに対し、目黒記念は100m長い芝2500mという条件。たった100mしか違いはないが、レースの質としては大きく異なる。

そんな目黒記念で重要なのが、前走の距離だ。前走同距離だった馬の成績は【3-1-2-15】で勝率14.3%、複勝率28.6%。単勝回収率は139%で、複勝回収率も107%と好走率、回収率の両面において優秀な成績だ。今年は同じ2500mの日経賞1~3着馬が特別登録している。

一方、前走で異なる距離を走っていた馬はあまり成績が良くない。距離延長組は【6-7-6-98】で勝率5.1%、複勝率16.2%、単勝回収率65%、複勝回収率88%。母数が多いので優勝馬や好走馬は同距離組より多いが、好走率と回収率では前走同距離組の後塵を拝す。

今回上位人気が予想されるサトノグランツは前走が海外のアミールトロフィー。このレースは芝2400mだから、今回は延長組に当てはまり割引材料になる。

ちなみに、前走からの距離短縮組についても同様。【1-2-2-26】で勝率3.2%、複勝率16.1%、単勝回収率61%、複勝回収率55%と振るっていない。

【前走同距離組の出走予定馬】
・クロミナンス
・シュトルーヴェ
・ヒートオンビート
・マイネルウィルトス

前走の内容:日経賞

今回は好走データに当てはまった日経賞の1~3着馬が出走を予定しているので、日経賞についてまとめて回顧していく。

馬場状態は良馬場発表ながら、降雨の影響でややぬかるんだ状態。ラップとしては前半5Fが59.9、後半5Fが60.7で前半の方が早い流れだったが、これは飛ばして逃げたマテンロウレオが記録したもので、馬群自体はスローペースだった。従って後ろ有利ということはなかっただろう。

2着クロミナンス、3着マイネルウィルトスは馬群の中団、勝ち馬のシュトルーヴェは最後方に近い位置から徐々にポジションを上げる形で競馬をした。

シュトルーヴェに関してはゲートで少し出負けしてしまい、ポジションが後ろからになったので、スタートが上手く決まれば前走以上の走りも可能だろう。

2着クロミナンスはできるだけ器用に回る必要がある中山で大外を回す形。この日は内の馬場も良かっただけに、距離ロスは大きかったとみる。展開一つでシュトルーヴェを逆転することは十分可能だ。

マイネルウィルトスは比較的スムーズな競馬での3着だっただけに、上位2頭を逆転するには展開の助けが必要だろう。

血統解説:クロミナンス、シュトルーヴェ

・クロミナンス
日本での牝祖は3代母ザスキート。近親には中京記念勝ちのフラガラッハ(父デュランダル)、アーリントンCや小倉記念3着のフェルメッツァ(父ディープインパクト)などがいて、重賞級の活力を持ち合わせているファミリーだ。

本馬の母イリュミナンス(父マンハッタンカフェ)もクイーンCやクイーンSで3着があり、JRA4勝の実績馬だ。芝適性の高いファミリーで、瞬発力で勝負するというよりは持続性能の高さで勝負するタイプが多い。

本馬は父がロードカナロアだが、母系の特徴を上手く引き出していることから短距離馬にならず、この一族らしいタフな中距離馬に仕上がった。6歳で3勝クラスを勝ち上がり、7歳で重賞挑戦という遅咲きのタイプだがキャリアはまだ12戦。フレッシュさは十分だ。

前走や2走前の様に中山コースでしぶとく伸びることもできるが、3走前には東京コースで切れる脚も使えている万能型。怪我などもあって出世が遅れたが、ここでも楽しみな一頭だ。

・シュトルーヴェ
日本での牝祖は祖母アンチョ。伯母はCCAオークス(GⅠ・ダ10F)勝ち馬で、引退後は日本で繁殖入りしたワンダーレディアンエル。母アンチュラスは現役時にJRA2勝でファンタジーS2着の実績馬。半兄アンティシペイト(父ルーラーシップ)はJRA5勝で七夕賞3着。ファミリーとしての活力は十分なものがある。

ワンダーレディアンエルがCCAオークスを制しているように、基本的にはスタミナが豊富なファミリー。また、母アンチュラスがディープインパクト産駒ということもあり柔らかいタイプの産駒が多い。本馬は父がキングカメハメハで母の柔らかさを受け継ぎつつ、胴部は長く出てスタミナも豊富なタイプ。前走は器用な競馬で勝利したが、本来は良馬場でスパッと切れる脚を使えるタイプだけに、東京へのコース替わりは好材料だ。

Cアナライズではクロミナンス、シュトルーヴェを推奨

今回のCアナライズではデータ面、前走の内容、血統からクロミナンスとシュトルーヴェを推奨する。

両馬とも前走(日経賞)は中山で好走しているが、東京で更に良さが出そうなタイプ。対して日経賞3着マイネルウィルトスは中山の方が良さそうなタイプだけに、前走ではそこまで差のない結果だったが、舞台が東京となる今回はその差が広がりそうだ。

また、上位人気が予想されるサトノグランツは好走データに当てはまらず、加えて世代的なレベルにもやや疑問が残る現4歳世代。その中でもトップクラスの馬ではないだけに、川田将雅騎手が騎乗して人気になるようなら軽視したい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。



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