土砂ダムの解消進まず住民は不満も 梅雨時の土砂ダム決壊防止へ仮設水路設置急ぐ

能登半島地震では、土砂崩れにより川をせき止められてできる土砂ダムが輪島市と能登町で14か所確認されています。大雨での2次被害を防ぐため梅雨入りを前に現場では仮設水路の設置が急ピッチで進んでいます。

輪島市市ノ瀬町では、元日の地震で幅160メートル、長さ700メートルにわたって山の土砂が崩れました。その量はおよそ170万立方メートルに上るとみられています。

記者リポート「地震で崩れた土砂が川をせき止めてできた天然のダム、これが土砂ダムです」

北陸地方整備局 能登復興事務所金沢分室 河川・砂防・海岸グループ・本田正和さん「木が白くなっているところまで浸かっていた」

これから迎える梅雨の時期。この土砂ダムがさらなる被害をもたらす恐れがあるといいます。

本田さん「6月からは雨が降るシーズンに入るので、そうなるとこの今落ち着いている土砂ダムがいつ決壊するかわからない。決壊すると土石流となって下流の市ノ瀬地区を襲う」

土砂ダムの決壊による2次被害を防ぐため、市ノ瀬町では1月から北陸地方整備局による仮設水路の設置が進められています。

本田さん「我々としても地域の方に1日も早く生活を取り戻せるように、1日も早く施工を進めていきたいということと、まだ応急的な対応が終わったばかり。雨とか情報に注意していただきたい」

土砂ダム対策工事はいずれも5月末までに完了する予定です。

一方で、家が土砂に飲み込まれ、現在は仮設住宅に暮らす市ノ瀬町区長の水口喜栄さん。行政の対応は遅すぎると話します。

市ノ瀬町区長・水口喜栄さん「屋根の上から10メートルは土砂積もってますよまだ。今もそのままっていうか、もうそのまま。一向に前が見えない。あの通りですよ、見た通り、全然前へ進んでない。水路は作ったけれども、全然前が見えてない。もう少し力を入れてほしいんですよ行政には。やっぱり市ノ瀬に戻りたい。やっぱり戻りたいですよ。戻りたいけども、山のそばには住みたくない」

住み慣れたふるさとへの複雑な思い。被災した人に寄り添いながらの復興にはまだまだ時間がかかりそうです。

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