初のマスターズ4強入りしたタビロがコーチ不在でローマ大会に臨んだことを明かす!「戦術をあまり考えないことがうまくいった」<SMASH>

先週行なわれた男子テニスツアー「イタリア国際」(5月8日~19日/イタリア・ローマ/クレーコート)で怒涛の快進撃を見せ、四大大会に次ぐマスターズ1000シリーズで自身初のベスト4入りを達成した27歳のアレハンドロ・タビロ(チリ/世界ランク25位)。無論それまでの道のりは容易ではなかった。それには現在の彼のチーム事情も関係しているという。

海外メディア『tennishead』によると、タビロは初戦敗退を喫した4月下旬の「マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/ATP1000)の直後に、約10年間苦楽を共にしてきた同郷のガイル・ゴメス氏(元シングルス1297位)との師弟関係を解消。結局翌週開幕したローマ大会ではコーチなしで戦い抜いたという。これについてタビロはジャン・ジジェン(中国/世界ランク42位)に勝利した準々決勝直後の会見で次のように詳細を明かしていた。

「僕のチームは非常に規模が大きい。そんな中、いくつかの点でゴメス氏との方向性の違いが生じた。でも円満な別れ方だった。それが僕らにとって最善の判断だという結論に至ったからね。現状指導者のことを含め全てにおいて僕らのチームには(特に)問題はない。マドリードの後からはコーチなしで過ごしているよ」
とはいえ、10年という非常に長い期間を共にしてきたかけがえのない恩師との別れは「悲しかった」と本音も。「たくさん電話をしたり話したりした」と家族や友人に大いに支えられたそうで、「(ここまで)メンタルをかなり安定した状態に保てたことは、本当に良かった」と振り返る。

一方でコーチ不在の状況が結果的には「リラックスしながらプレーする」ことにつながったとし、「戦術についてもあまり考えすぎないようにしていて、とにかくプレーに専念している。最近はそれがうまくいっている」と手応えも口にした。

ローマ大会では素晴らしいパフォーマンスを見せたタビロ。3回戦で世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)、4回戦ではカレン・ハチャノフ(ロシア/同18位)という2人のトップ選手を撃破して4強入りを果たした。しかし準決勝ではアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同4位)に6-1、6-7(4)、2-6の逆転で敗れ、惜しくも決勝進出とはならなかった。

それでもグレードの高い大会で好結果を残せたことは、タビロに大きな自信をもたらしたことだろう。この勢いのまま数日後に開幕する今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ/クレーコート)でも上位進出を期待したい。

文●中村光佑

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