日本人最速100セーブなるか 広島カープの “守護神” 栗林良吏 フォークが形成する圧倒的 “数字”

広島カープの “守護神” 栗林良吏 投手が今シーズン、とんでもない成績を並べています。

今季成績(5月19日時点)
19登板 12S(通算98S) 0勝1敗
防御率0.50 与四球3(申告敬遠1)
被打率.115 与死球0
奪三振率13.00

この裏に何があるのか―。話を聞いてきました。

広島カープ 栗林良吏 投手
― 4分の1の今シーズン、栗林投手にとっては?
「自分としても久しぶりに開幕からいい状態で入れているのかなっていう。もちろん、負けもあるので、100%ではないですけど、いい方なのかなとは思っています」

防御率0点台、さらに被打率、奪三振率など全ての数字において(5月19日)現在、球界トップクラスに位置する栗林―。その圧倒的数字の理由を本人に聞きました。

栗林良吏 投手
― いろんな数字を見てみますと、まず三振の割合が増えている。
「自分ではそんなに三振を取っているイメージがないので、本当にとにかくゼロで終わりたいって気持ちでマウンドに上がっていますし、数字で見てみれば、結果的に三振がこんなに取れてるんだってぐらいなので」

栗林の奪三振を支える “伝家の宝刀” フォークボール。今シーズン、奪った26個の三振のうち、およそ6割が決め球にフォークを使った三振でした。

今シーズン 奪三振(番組調べ・5月19日時点)
フォーク 16
ストレート 6
カットボール 4

昨シーズン、フォークの精度がネックとなり、初めての1軍抹消も経験しましたが、ことしは完全復活を遂げています。

栗林良吏 投手
― 去年と違う部分がある?
「うーん。自分の中ではフォークはオフシーズンにトヨタのピッチングコーチからアドバイスをもらったときに、一気に自分の中で感覚がよくなりましたし、そのままキャンプ、オープン戦とそのフォークは結果が出ているので、それがずっと今も状態が維持できているのかなと思うので」

去年のシーズン中にさまざまな修正を図ったものの、切れが戻り切れなかったフォークボール。しかし、自主トレを行った古巣トヨタに完全復活へのヒントがありました。

栗林良吏 投手
「自分は腕を意識したりだとか、手首を意識したりだとか、それこそ指を意識したりだとかってところで試行錯誤してきましたけど、結果的に昨年1年はなかなかいい方向に行かなかったっていうのが現状で、トヨタのコーチからは『左足のブロックっていうのか、お尻を意識した方がいいよ』って言われてから、それを意識するようになって、よくなっていったっていうのと、その結果、数値もよくなっていったので、手じゃなくて、結局、下半身っていうのか、左のお尻が自分の中ではきっかけとしてアドバイスをもらって、よくなりました」

― 何の数値が改善したのか?
「 “発射角度” っていうのか、(球を)リリースしたところからまっすぐと同じ角度で出せるようになったっていうのが一番よくなったところで。あとは落ち方とか、落ち幅とかはたぶん、そんなに大きく変わっていないので、その発射角度が安定したのが一番かなと思います」

復活のカギは、軸足となる左足、そして、その根幹となる臀部(お尻)の意識でした。この改革により、ストレートと同じ軌道に見える奪三振率の高いフォークが復活を遂げました。

さらにフォークで空振りが取れることにより、今シーズンの特徴でもあるフォアボールの少なさにつながる相乗効果もありました。

栗林良吏 投手
「フォアボールの数は、ことしは自分の中ではすごく手応えを感じているというのか、ストライクゾーンで勝負できることが多くなっているので、そこはここ4年間で一番いいのかなとは思っています」

年度別フォアボール(5月19日時点)
2021 28
2022 15
2023 19
2024 3

― その要因は?
「やっぱりフォークボールを振ってもらえているのが一番なので、低目のフォークボールを振ってもらえなくなると、おのずとカウントが悪くなってフォアボールが増えたりだとかヒットを打たれる確率が増えるので、ことしはその点、フォークボールで空振りが取れたりだとかっていうところがあるので、自分に有利なカウントに持っていける確率が高くなったのかなと思います」

ストレート・変化球、全てが1級品と呼び声の高い栗林ですが、やはりフォークの完成度は生命線であり、ピッチングの全てのバランスをとっています。

そして、自身と向き合いながら重ねたセーブは(5月19日)現在、98個。本人にとっては通過点でも、あと2つに迫った100セーブは周りに支えられたからこそのものだと謙虚に振り返ります。

栗林良吏 投手
「この100セーブに近づいているのも、1年目から起用してくれた佐々岡(真司)さん(前監督)のおかげですし、新井さんになってからも、自分が調子悪くても9回に上げてくれることが多かったので、自分の力というよりかは首脳陣の方々が9回のマウンドに上げてくれたおかげなんですけど」

クローザーとしてゲームの勝敗を最後に請け負い続ける栗林良吏。首脳陣・チームメート・ファンの期待を一身に背負いながら勝利を告げるセーブをこれからも重ねていきます。

栗林良吏 投手
「昨年、矢崎(拓也)さんがずっとクローザーをやられていて、島内(颯太郎)もずっと(調子が)よくてというところで、ことし、開幕から新井さんに9回を投げさせてもらえているので、そういうプレッシャーと今度こそ新井さんの期待に応えたいっていう気持ちだけで今はマウンドに上がっています」

◇ ◇ ◇

石田充 アナウンサー
1年目から守護神を務めるのが、そもそも異例だったわけなんですけれども、ことし、4年目で98セーブ。あと2試合で2セーブを挙げると、NPBの日本人、試合数でいうと最速記録ということになります。今週中にもその歴史が変わるかもしれません。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
ぜひ、達成してもらいたいです。ただ、1つ聞いたんですけれども、石田アナウンサーが、栗林投手インタビューの聞き手ですよね。「聞く “数字” の内容が浅かった」って。けっこう栗林投手はいろいろと自分で予習して臨んでくれていたらしいです。

石田充 アナウンサー
終わった後に「石田さんにしてはちょっと “数字” の深掘りが浅かったですね」と…

田村友里 キャスター
指摘を受けたんですね(笑)

石田充 アナウンサー
逆に栗林投手に「何の “数字” がことし、気になりますか?」と聞いたら、やっぱりフォアボールの少なさ。3個あるんですが、うち1個は申告敬遠ですから。なかなか、ことしはなくって。ルーキーイヤーはヒットの数よりフォアボールの方が多かったんです。全然、ことしはそういう傾向はないんですけど、もうちょっと本人的には違う “数字” を深掘ってほしかったらしいんですけれども…

天谷宗一郎 さん
次回、リベンジですね。

石田充 アナウンサー
まだまだ数字がついてくる栗林投手です。

(RCC「イマナマ!」カーチカチ!テレビより)

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