新鋭8300系増備や鉄道DXでキャッシュレス改札機拡大などに140億円 南海の2024年度鉄道設備投資計画(大阪府、和歌山県)

2015年にデビューした8300系電車。当初の南海本線・空港線に加え、最近は高野線でも主力車両として存在感を高める(写真:南海電鉄)

南海電気鉄道は2024年度の鉄道設備投資計画で、「鉄道事業のサステナビリティーを高める安全・安定的な輸送基盤強化」と「社会的要請に応えるサービス高度化」を施策の2本柱に、企業価値を高める企業活動に力を入れる。2022年度から3ヵ年にわたる、グループ新中期経営計画「共創140計画」の最終年度に当たる2024年度、総額約140億円の設備投資を予定する。

鉄道の安全性向上や環境負荷低減を表すサステナビリティー向上で取り組むのは、「中百舌鳥駅ホームドア設置」、「駅ホーム施設更新」、「高野線への防護無線システム導入」など。

南海高野線から泉北高速鉄道が分岐、OSAKA METRO(大阪メトロ)御堂筋線とも接続する拠点駅の中百舌鳥駅では2024年3月、4番ホームに大開口ホームドアが設置されたが、2024年度は3番ホームに拡大する。

中百舌鳥駅のホームドア。同駅は橋上駅舎で地上ホームは2面4線の構造だ(写真:南海電鉄)

高野線の防護無線システムの機能は、踏切に取り残された横断者が発見されたような緊急時、無線で周辺電車を緊急停止させて安全を確保する。

もう一つの社会的要請に応えるサービス高度化の実効策は、「車両新造・更新」、「駅舎リニューアル・バリアフリー化推進」、「鉄道DX」など。

鉄道ファンの関心が高い車両は、「人と環境に優しい車両」をコンセプトに開発した8300系電車を2024年度内に12両新製。8300系は省エネルギー、安全・サービス向上などが売りだ。

鉄道DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による業務改革)では、高師浜線(羽衣~高師浜間1.4キロ)と和歌山港線(和歌山市~和歌山港間2.8キロ)でのの自動運転を推進。レベルはGOA2.5(添乗員付き自動運転)で、引き続き有識者討委員会で安全性を評価する。和歌山港線は実証試験にも取り組む。

キャッシュレス化では、タッチ決済やデジタルきっぷに対応する改札機の対象駅や改札口を拡大する。新しい改札機は、日本人に加え訪日インバウンド客のサービス向上に威力を発揮する。

記事:上里夏生

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