【Excel】PDFや画像を見ながら表を手入力する時代は終わった! 画像認識を活用しよう【いまさら聞けないExcelの使い方講座】

by 今井 孝

コピペできないデータは画像認識機能で解決

データをコピーできなくても大丈夫

紙の書類をスキャンしたPDFファイルやメモとして撮影した写真など、セルに値をコピーできない表はよくあります。AIにデータを渡して抽出する手もありますが、サービスのアカウントを持っていない人も多いですよね。

うまく変換できたとしても、クラウドに保存されたデータを目の前のパソコンに保存するまでにひと手間かかります。単純にデータをコピーするだけなら手入力のほうが早いかもしれません。

今回はエクセルの画像認識機能を利用してデータを取り込む方法を紹介します。実は、数年前に実装されており、便利な割に知名度の低い機能なのです。

数クリックで読み取りは完了する

サンプルとして総務省の公開しているデータを読み込んでみます。

このデータは表の値をコピーできますが、そのままエクセルに貼り付けると、以下のような残念な状態になってしまいます。

総務省の公開するデータ
表の部分をコピーしてエクセルに貼り付けました。この状態から表を整えるのは大変です

まず、スクリーンショットを撮影します。特別なアプリは必要ありません。Windows標準の「切り取り & スケッチ」を使って、スクリーンショットをクリップボードに保存します。ショートカットキーは[Windows]+[Shift]+[S]です。

スクリーンショットを撮影したいデータを開いておきます。[Windows]+[Shift]+[S]キーを押して(①)「切り取り & スケッチ」を起動します。画面が暗くなるのでスクリーンショットを撮影したい範囲をドラッグします(②)
デスクトップに通知(③)が表示されます。

これで準備完了です。続けてエクセルに処理してもらいましょう。

[データ]タブ(④)にある[画像から](⑤)-[クリップボードからの画像](⑥)の順にクリックします
画像の解析が始まります
データの準備が整うとクリップボードの画像と認識されたデータが表示されます。[確認](⑦)をクリックします
正しく認識できなかったと思われる箇所が表示されます。問題なければ[同意する](⑧)をクリックします
次の箇所に移動します。正しいデータを入力して(⑨)、[同意する](⑩)をクリックします
同様の操作を繰り返します。削除して構わない場合は空欄のまま[同意する](⑪)をクリックします
すべての確認が完了すると[確認]ボタンは押せなくなります。[データを挿入](⑫)をクリックします
もう一度[データを挿入](⑬)をクリックします
データが挿入されました

結果の表は崩れているように見えますが、不要な行や列を削除して、数カ所を修正すれば整えられます。手段によらず取得したデータの確認作業は必要ですから、元の表と見比べながら修正しても、それほど手間ではありません。少なくともすべて手入力するよりはましです。

なお、表形式ではない文章の読み取りにも利用できます。スクリーンショットをくり返し撮影して、結果を任意のセルに挿入できることも、この機能を評価できるポイントです。

ひと工夫して読み取り精度を向上させよう

上の例における「2014」など、確認が必要なのか疑問に思う箇所もありますが、許容範囲の精度ではないでしょうか。スクリーンショットを撮影するときに、元の表示を拡大しておくと、読み取り精度が上がります。困ったときに思い出して使ってみてください。

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