タイガー・ウッズのパッティング練習に密着 グリーン上に3本のティペグ

全米プロの会場で黙々とパター練習をしていたタイガー・ウッズ(撮影/服部謙二郎)

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

タイガー・ウッズは4月の「マスターズ」に続く予選通過を残念ながら逃した。今大会の事前練習日に彼のパッティング練習の一部始終をチェックしていたので、最新事情をアップデートしたい。

ティを差した練習アドレス(撮影/服部謙二郎)

多くの試合会場で練習グリーンは複数あるが、バルハラGCの練習グリーンは1つだけで、しかも比較的狭かった。すなわち、グリーン上はいつも選手でごった返すわけだが、その中でウッズの周りだけが空いていた。周りの若い選手たちも近寄りがたいのだろう。ウッズと同じカップを共有するのは遠慮して、一定の距離感を保っているように見えた。

では、どんな練習をしていたのか。ウッズが選んだカップは2mほどの上り、真っすぐのライン。おそらく先に練習を終えていた他選手が、ペンで引いたであろうカップまでのオレンジ色の直線を“拝借”して球を転がし始めた。

時おり右手だけで片手打ちも(撮影/服部謙二郎)

ウッズは2本のティペグをパターのヘッドの幅に合わせてグリーンに刺した。これはお決まりのドリルで、ヘッド軌道の矯正、チェックであると推測できる。ヘッドがアウトサイドから下りてきても、極端にインから入ってもティにぶつかる仕組み。実にアナログなやり方だが、インパクトのフェースの開閉も確認しやすく、効果は絶大だ。

左目の下からボールを落とす1(撮影/服部謙二郎)

右手での片手打ちも繰り返した。ウッズは右手で距離感を出すというから、感覚を確認しているのだろう。さらに、手で拾い上げたボールを左目の下に落として、アドレス時のボール位置をチェック。ボールはちょうど2本のティペグの間に落ちた。

ボール位置は選手によって様々だが、左目の下や額の下、眉間の下などが多いと聞く。どこであれ、それぞれ決まったボール位置がズレないよう日々チェックするといい。

新たなティを差しドリルを始める(撮影/服部謙二郎)

しばらくすると、ウッズはポケットからティペグをさらに1本取り出し、先に刺されていた2本のティのうち、身体に近い方から10cmほど飛球線側に刺しこんだ。フォロースルーでヘッドがインサイドに抜け過ぎないようにするためだろうか?

ウッズの正面に回ってみると答えが分かった。フォロースルーを3本目のティの位置で止めているのだった。つまりフォロースルーの振り幅の目安として、ティペグを使っていた。ウッズのパッティングの特徴はいわゆるタップ式で、“パチン”と打つスタイル。フォローをしっかりと止めることが、ストロークの安定につながるのだろう。

ティのところでヘッドを止める(撮影/服部謙二郎)

その後、3本のティを全て抜き、上りのフックライン、下りのスライスラインなど曲がるラインを練習して、40分近い練習は終了した。グリーンを取り囲んだギャラリーは、ウッズの様子を真剣に見守った。また、他の選手もウッズの練習をチラチラと見ていた。彼の一挙一動は、プロにとっても気になるのだろう。(ケンタッキー州ルイビル/服部謙二郎)

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