大活躍の日本人選手と対照的な韓国人メジャー新人2選手 一人は今季絶望、もう一人はマイナーで苦戦

“韓国のイチロー”ことイ・ジョンフ(25、サンフランシスコ・ジャイアンツ)が負傷で今季絶望となり、韓米両リーグでの「デビューシーズン新人王」の可能性を逃した。

ジャイアンツは5月18日(日本時間)、イ・ジョンフが左肩の手術を受けるため、今季中の復帰が不可能であることを発表した。

イ・ジョンフは37試合出場で145打数38安打、打率0.262、2本塁打、8打点、15得点、出塁率0.310、長打率0.331、OPS(出塁率+長打率)0.641の記録で、MLB1年目のシーズンを終えた。

韓国プロ野球KBOリーグ出身選手として、MLB新人王の受賞を期待していただけに、残念な気持ちは大きい。

イ・ジョンフが新人王を受賞する可能性は十分あった。KBO時代に初の首位打者となった2021年シーズンも、同年4月までは打率が0.269だった。ただ、シーズンが終わってみると、打率は0.360に達していた。

ただ、シーズンは終わってしまった。

来季、イ・ジョンフは再び新人王に挑戦することができるだろうか。結論から言えば「ノー」だ。

新人王の受賞資格が与えられるのは、前年までMLBで130打席以下の野手、登板50回以下の投手だ。また、故障者リスト入りした期間を除き、アクティブ・ロースター登録期間が45日以内でなければならない。

だが、イ・ジョンフは故障以前まですでに145打数を消化している。

(写真提供=AP/アフロ)イ・ジョンフ

現時点でナ・リーグの最有力新人王候補は、シカゴ・カブスの今永昇太(30)だ。

今永は9試合で先発登板し5勝無敗、53.回を投げて防御率0.84を記録している。58奪三振、9四球という数字も恐ろしい。

もちろん、シーズンはまだ4分の1しか進んでいない。とはいえ、序盤の勢いを無視することはできない。

KBOリーグ出身でMLB1年目を迎える選手はイ・ジョンフだけではない。

今季サンディエゴ・パドレスに加入するもメジャー昇格ができず、5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍したコ・ウソク(25)も、1軍コールアップを待っている。

現在、マーリンズ傘下マイナーのジャクソンビル・ジャンボシュリンプでプレーしている。マイナーで完璧な投球を見せてこそ、コールアップの可能性もある。実際、マーリンズはリリーフ不足に悩まされている。

しかし、コ・ウソクに対し現地の評価はすべて好意的なわけではない。一部のアメリカメディアによると、コ・ウソクをめぐり酷評を残したスカウトもいる。

コ・ウソク

MLBでプレーする韓国人選手には、パドレスで主力遊撃手を担うキム・ハソン(28)もいるが、やはりKBOセーブ王のコ・ウソクにかかる期待も大きい。

コールアップ後、メジャーの舞台で好投を見せることができれば、新たな新人王候補として取り上げられる可能性は十分にある。

◇イ・ジョンフ プロフィール

1998年8月20日生まれ。日本・愛知県名古屋市出身。身長185cm。韓国のプロ野球選手。サンフランシスコ・ジャイアンツ所属。父親は1998~2001年に中日ドラゴンズに在籍したイ・ジョンボム(李鍾範)。高校卒業後の2017年にネクセン・ヒーローズ(現キウム・ヒーローズ)でプロデビューし、同年の新人王を受賞。ゴールデングラブ賞(NPBのベストナインに相当)に2018~2022年の5年連続で選ばれており、2022年はシーズンMVPと打撃5冠(首位打者、最多安打、最多打点、最高長打率、最高出塁率)に輝いた。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場した。2023年12月13日、米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(日本円=約164億円)で契約した。愛称は「韓国のイチロー」。

◇コ・ウソク プロフィール

1998年8月6日生まれ。韓国・仁川出身。身長180cm。韓国のプロ野球選手。マイアミ・マーリンズ傘下マイナー所属。高校卒業後の2017年にLGツインズでプロデビュー。2019年シーズンに韓国プロ野球KBOリーグ史上最年少30セーブ(21歳1カ月7日)を達成すると、2022年シーズンには42セーブでセーブ王に輝き、韓国プロ野球史上19人目の通算100セーブに到達。2024年1月にサンディエゴ・パドレスと契約するも、開幕直前にロースターを外れ、メジャー昇格がないまま同年5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍した。韓国代表としては2019年プレミア12、2021年東京五輪、2023年WBC、杭州アジア大会に出場。2023年1月、元中日ドラゴンズのイ・ジョンボム(李鍾範)の娘で、イ・ジョンフ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)の妹であるイ・ガヒョンと結婚した。

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