【Mリーグ】祝!Pirates優勝を決定づけた小林船長の精神力

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【岡田紗佳のもう一度見たい麻雀Mリーグ】

5月14日第2試合 東2局1本場=堀慎吾(サ)、園田賢(ド)、勝又健志(風)、小林剛(P)

KADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳です。昨年9月に開幕した2023―24シーズンも全日程が終了し、サクラナイツは3位でシーズンを終えました。優勝には届かず悔しい思いはありますが、皆さんの桜援が大きな力となりました。ありがとうございました!

優勝したのは4年ぶり2度目となるPiratesです。レギュラーシーズンも首位通過、セミファイナルも首位通過、そして優勝とMリーグ史上初めての完全優勝を達成しました。レギュラーの個人成績は鈴木優選手がMVP、瑞原明奈選手が3位、仲林圭選手が4位と3人が大爆発する中、唯一不振だったのが船長の小林選手です。それでもファイナルでは復調し、優勝を決定づける一戦に臨みました。

ファイナル16戦中11戦を終えた時点で、首位Piratesと2位ドリブンズの差は309・1ポイント。残り5試合で、ドリブンズとトップ・ラスさえ決められなければかなり優勝が近くなります。ドリブンズとの差に最大限の注意を払いさえすればいい状況下で、親番の園田選手から3巡目にリーチが入ります。直後に小林選手も1萬9筒のシャンポンでテンパイしました。

打点的には赤赤で十分ですが、1萬が1枚切れなのでマックス山に3枚しかいません。テンパイを取るためには1発目で無スジの7索を切り飛ばさなければならないし、さらにリーチしているのが一番のライバルのドリブンズ・園田選手の親番と歯向かいたくない要素が揃っています。ここで仮に園田選手に1万2000点でも振り込もうものならば、ドリブンズとトップ・ラスというのが一気に現実味を帯びてきます。そうなるとポイント差は残り4戦で200前後になり、かなり現実的な条件が残ってしまいます。

普通だったら追いかけリーチとなりそうな手ですが、やはりこの優勝をこぼせないような状況だと怖がって踏み込んでいける人は多くありません。とりあえず1萬をトイツ落としして、7索に6索や8索がくっついたら行こうかな、というのがとってしまいがちな選択。しかし小林選手が選んだのは追いかけリーチ。見事に9筒をツモって裏ドラを3枚乗せて跳満のアガリとなり、この試合をトップで終えました。

この勝利がPirates優勝の最後の決め手となりました。それにしてもあの局面でリーチに踏み切れる小林選手の精神力はさすがと言うしかありません。シーズン序盤、中盤は苦しみましたが、最後の最後の大事な試合でしっかりと決めて、船長としての役目をキッチリ果たして完全優勝に貢献しました。

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