高速鉄道で26カ所以上の駅が建設後に運用されず―中国

中国経営報は中国高速鉄道の駅で建設後にほとんど運用されていない駅が少なくとも26カ所存在することを伝えた。写真は瀋陽西駅。

2024年5月21日、中国メディアの中国経営報は、中国高速鉄道の大規模な拡張工事により、各所で多数の駅が落成した一方で、海南省儋州(だんしゅう)市の海南環島高速鉄道の海頭駅のように、多くの資金を投入して完成させながらもほとんど使われていない駅が中国全国で少なくとも26カ所存在することを報じた。

記事は初めに完成後も未使用の26駅の現状について説明した。26駅が建設後も使用されない原因は、駅の地理的条件が大都市や繁華街、観光地などから遠すぎること、周辺の交通インフラが未整備だったり、接続が行き届かず、アクセスが不便すぎること、もともとの利用客数が少ないことなどが挙げられる。

記事は一例として、海南省儋州市の海頭駅のケースを紹介した。15年に完成した同駅は7年後の23年までに4000万元(約8億7200万円)を超える資金が投じられたにもかかわらず、運用されないままだった。海南省発展改革委員会は23年7月、鉄道管理部門との意見交換の結果、海頭駅の利用客数予測が100人足らずで、運用開始後の利益確保のめどが立たないことが同駅運用の制限の理由だと明かした。このことは21年ごろからすでに指摘があり、同駅の運用開始には赤字補填のために儋州市から500万元(約1億900万円)の補助金が必要になるといわれていた。最終的に同駅は世論の圧力もあって、23年12月に正式運用が開始されたが、同様のケースは他にも海南環島高速鉄道の万寧市和楽駅や京哈高速鉄道の瀋陽西駅など多数見られるという。

また、一部の駅は運用開始後に短期間で利用客数の少なさにより運用を停止したという。記事では一例として、湖南省株洲市の九郎山駅を紹介した。同駅は16年、長株潭都市間鉄道の開通と共に運用を開始した。当初の予測では1日平均の利用客数は100人程度を見込んでいたが、開通後は大幅な下降の一途をたどり、10人にも満たなくなったため、閉鎖された。同様のケースは北京のような大都市の高速鉄道でも存在し、京津都市間高速鉄道の亦荘(えきそう)駅は、完成から15年たつにもかかわらず、放置状態にある。ほかにも瀋陽市の中心から20キロ以上離れた所にある瀋陽西駅は18年12月に運用開始後、7カ月後の19年7月に運用を停止した。南京市の紫金山東駅は10年、江浦駅は11年に完成したにもかかわらず、運用されていない。

記事は次に未使用の駅が生まれた背景について論じた。中国経営報の記者が地方政府の関係者を取材したところによると、高速鉄道の建設当初は中国鉄道部が中心となって路線や駅の敷設の選定を行っていたが、最近は地方政府の投資額が大きくなり、高速鉄道開通に積極的な地方政府の発言力も増大したことが影響し、現在の高速鉄道の駅数は建設当初の「四縦四横」で計画されていた数をはるかに超えているという。

記事は最後に、建設したにもかかわらず未使用の駅が存在する高速鉄道の問題の解決案について専門家を取材し、「高速鉄道の駅を置く地点を選ぶ際は経済効果と安全性を十分考慮しなければならない。経済的拠点になるべく近い場所で、資源と人口が密集する区域に近く、地質や環境的条件を厳格に考慮しても安全に問題がない場所を選ばなければならない。高速鉄道の駅と都市の中心部の間の距離は旅客の行動心理や利便性に対する評価に大きく影響する」としたほか、「駅を新設する際に重要なのは利用客数予測が的確かどうかだ。鉄道部の設計院が新駅の計画の際に行う利用客数予測は人口密度の高い大都市ほど参考になる情報が多いため当たりやすいが、規模が小さい都市や場所になればなるほど予測が外れやすい。他には発着便数も利用客数に及ぼす影響が大きい。一部の駅では1日に10本しか鉄道が停車しない。便数が少なければ利用客はだんだん少なくなる。利用客の減少により便数もますます減るという悪循環に陥り、開通後に閉鎖という状況が現れる。高速鉄道はもっと科学的に計画を立て、経済性と実用性を総合的に考慮すべきだ。地方政府も盲目的に政治実績を求めて高速鉄道を引こうとしてはいけない」と回答があったことを伝えた。(翻訳・編集/原邦之)

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